武家の家紋によく用いられた雑草は?
連休に向けて慌ただしかった新生活に少し一息。
頑張りすぎてなかったかな?と心と体のバランスを振り返る方もいらっしゃるのでは。
人や車が往来し、アスファルトで乾燥や強風にさらされるなど意外に過酷な環境でも、たくましく道ばたに年中雑草の花たちが咲いているのをご存知でしたか?
例えば「カタバミ」は、この雑草の繁殖力にあやかりたいと子孫繁栄を願い家紋のモチーフに使われたり、葉に酸を少し含むため葉を揉んで鏡や硬貨を磨くのに使われ親しまれたそうです。
春~夏と種類が多くみられる季節、このたびは道ばたの小宇宙、花を咲かせる雑草に注目します。
オオイヌノフグリ
花言葉は、春の喜び、信頼、神聖、清らか。
瑠璃色で爽やかな春の空を思わせる花を咲かせるのに対して、植物図鑑に必ずといっていいほど「かわいそうな名前」と紹介されています。
ふぐりとは陰嚢のことで、実の形がそれに似ていることから由来。名前が猥褻だと「瑠璃唐草」「天人唐草」などの提案もされたのに、定着しませんでした。
確かに一度きいてしまうと忘れられないのかもしれませんね。
一方、ヨーロッパでは、「ベロニカ」という名前で聖なる奇跡の花として親しまれています。イエスキリストが連行されたときに顔の汗を拭いてあげた女性がベロニカです。
彼女のハンカチにキリストの顔が浮かびあがるという奇跡がありました。オオイヌノフグリの花にはキリストらしい顔が見えます。これが名前の由来です。
ハキダメギク
花言葉は、不屈の精神。
植物学者として有名な牧野富太郎博士が東京世田谷区のゴミ捨て場で発見されたことから、この名前が…こちらも「かわいそうな名前」…です。日本と世界では、少し雑草の認識が異なるようで、生命力あふれ広がっていく雑草はコスモポリタンと呼ばれ、なかなか良い名前をもらっています。
ハキダメギクの英語名は「勇ましい戦士(gallant soldiers)」ハワイでは原産地にちなみ「ペルーの雑草(Peruvian weed)」と呼ばれています。
ムラサキカタバミ
花言葉は輝く心、喜び。
江戸時代末期に園芸用の植物として日本に持ち込まれた。南米原産なので、関東以西に多く分布。
美しいピンクの花、ハート型のかわいらしい葉っぱ。カタバミの仲間は花が美しく園芸用でも種類が多く、「オキザリス」として知られていま。
但し沖縄では、繁殖が旺盛すぎて畑に被害をもたらす困った強害草でもあるそう。
「雑草のように強く生きろ」と言われますが、植物学的にいうと雑草は決して強くなく、恵まれた条件では強い植物が育つため、強い植物が育たない過酷な環境にあえて身をおいているのだそう。「逆境を味方につける」これこそが雑草の成功戦略なのだそうです。私たちに元気づけるように足元で小さな輝きを放っている雑草の花たち。なんだか元気がわいてきますね。
どうぞよい連休をお過ごしください。
参考:「散歩が楽しくなる雑草手帳」稲垣栄洋 東京書籍