
8月も下旬となり、いよいよ佳境を迎えているプロ野球のペナントレース。なかでも熾烈なのがパ・リーグの優勝争いだ。
シーズン序盤は日本ハムがリードしていたが、夏場に入ってソフトバンクが順調に勝ち星を重ねて逆転。特に8月9日から行われた直接対決ではソフトバンクが3連勝を収め、リーグ連覇の雰囲気が一気に強くなった印象を受けた。
しかし日本ハムも8月19日のオリックス戦では9回に2点差をひっくり返す劇的な逆転サヨナラ勝ちをおさめるなど粘りを見せている。
では日本ハムの逆転優勝は可能なのか、そしてそのためのキーマンは誰になるのか。これまでの戦いぶりから探ってみたいと思う(成績は8月19日終了時点)。
まず日本ハムがソフトバンクと比べて上回っているのが長打力だ。チーム打率、得点数などは両チームにほとんど差はないものの、ホームランに関しては日本ハムが20本以上リードしている。
しかし課題は、その長打力がソフトバンクとの直接対決では発揮できていないという点だ。セ・パ交流戦を除くリーグ戦で日本ハムがこれまで放ったホームランは82本を数えるが、ソフトバンク戦ではわずか9本にとどまっている。
特にソフトバンク戦で結果を残せていないのがチームトップの23本塁打を放っているレイエスと、チーム3位の10本塁打を放っている水谷瞬だ。ともにソフトバンク戦の打率は2割を下回っており、ホームランもレイエスが1本、水谷が0本となっている。
前述した8月9日からの3連戦でもレイエスはシングルヒット1本、水谷は初戦でノーヒットに終わると2戦目以降はスタメンから外れている。この2人が機能していないことがソフトバンクに7勝12敗と負け越す要因の一つになっていることは間違いないだろう。
そしてソフトバンクに比べて攻撃面で劣っている部分と言えるのが機動力だ。チーム盗塁数はソフトバンクが85に対して日本ハムが55と、30もの大差をつけられている。
ソフトバンクは現在盗塁数リーグトップの周東佑京以外にも野村勇、牧原大成、佐藤直樹、緒方理貢など機動力を生かせる選手が揃っているが、日本ハムは五十幡亮汰以外では矢沢宏太が目立つくらいである。
盗塁はチーム方針によって大きく数字が変わるだけに、その数がイコール機動力ではないが、走れる選手がソフトバンクに比べると少ないことは確かだろう。