渡欧後、バイエルンのセカンドチームでプレーした後、レンタル移籍でポルトガルのポルティモネンセを挟み、2024年7月に移籍した同じポルトガルのアロウカで昨季リーグ戦30試合に出場して評価を高めると、買取オプションが行使されて今季開幕を迎えた。

 その開幕戦で4-2-3-1のダブルボランチの一角を務めると、後半17分にボックス手前で鋭いドリブルを見せてアシストを記録して3-1勝利に貢献した。第2節は守田英正擁するスポルティング相手に前半のうちに味方が退場して0-6大敗を喫したが、そのなかでも福井は先発フル出場しており、監督からの信頼度の高さがわかる。

 今後もレギュラー起用が続きそうで、開幕戦のように得点に絡むシーンが増えれば、欧州内にもその名が広まることになりそうだ。

 5人目として、松木玖生(サウサンプトン)の名前を挙げたい。2003年4月30日生まれの22歳。青森山田で高校タイトルを独占してキング”と呼ばれ、FC東京では高卒1年目からスタメンで出場した世代トップのMF。

 Jリーグでの2年半を経て、2024年7月にプレミア復帰を果たしたサウサンプトンと契約を交わすと、渡欧1年目はトルコのギョズテペへ期限付き移籍して公式戦34試合出場6得点5アシストと結果を残した。そして2年目の今季は2部降格となったサウサンプトンに復帰。再レンタルの報道もされているが、リーグ開幕戦でベンチ入りした後、カップ戦に続いてリーグ第2節でも交代出場。ともに20分以上のプレー時間を得ており、初のイングランド挑戦はまずまずの出だしと言えるだろう。

 海外移籍の時期と重なったためにパリ五輪メンバーから落選して以降、一般のファンが彼のプレーを見る機会が減ることになったが、トルコではFWとしてプレーするなど得点力に磨きをかけており、このままサウサンプトン残留でチャンピオンシップの舞台で出番を掴むことができれば、再びメインストリームへの帰還が期待できる。メンタルの強さは誰もが認めるところで、欧州舞台で活躍できる能力は間違いなくある。あとは運とタイミング。今季が飛躍のシーズンとなる期待感が漂っている。

(文・三和直樹)

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