
三つのフィルターを切り替えられる
Lensbaby(レンズベビー)の製品はモノによるが、主にレンズのティルトの作用や残存する収差を生かすことで、画面の一部のみにピントを合わせたり、ソフト効果を得ることでファンタジックな世界をつくったりと、個性的な再現を得ることができる交換レンズだ。ティルトも残存収差も本来、光学理論上はレンズの敵だが、この効果を逆手にとって特異な描写を得ようとしている。
最近ではカメラ内蔵のエフェクトや画像処理ソフトを使用し、同様の効果を擬似的に再現する機能もあるが、これらはCGに近い。レンズベビーは光学的な作用を使うものであるから、あざとさは少ないし現場で納得して使用できる。昨今のクラシックレンズの人気と似ているが現行レンズなので描写の信頼性は高い。
Trio28は1本のレンズをターレット式に切り替えることでTwistとVelvet、Sweetの三つの異なる効果が得られるミラーレス機用のMFレンズ。焦点距離は28ミリでf3.5固定だ。レンズ交換の手間がなく被写体や好みに合わせて簡単に効果を変えられ、楽しく使える。

ツイストは背景のボケが渦巻く、通称「ぐるぐるボケ」の効果が得られる。主要被写体と背景までの距離、あるいはカタチによっても効果が変わる。作例は至近距離での撮影だが周辺を見ると目が回りそうだ●富士フイルム X-T1・AE(絞りf3.5・500分の1秒・-0.7補正)・ISO400・WB:マニュアル・RAW

スウィートは元祖レンズベビーともいってよい代表的な効果で、画面の中心部のみにピントが合い、周囲は大きくボケる。内部のレンズが傾けてあるのだろうか。撮影距離によっては大判カメラのような逆アオリと同様にミニチュア写真効果も期待できる●富士フイルム X-T1・AE(絞りf3.5・4000分の1秒・-0.3補正)・ISO400・WB:マニュアル・RAW

ベルベットはソフトフォーカス効果が得られる。ソフト効果は写真のようにかなり強い。球面収差の効果によるもので、合焦点には芯がある。ハイライト部分がうまくにじむと印象的な写真が作れる●富士フイルム X-T1・AE(絞りf3.5・850分の1秒・-1.3補正)・ISO200・WB:マニュアル・RAW
◆赤城耕一
●焦点距離・F値:28ミリ・F3.5●レンズ構成:スウィート:3群3枚、ベルベット:2群3枚、ツイスト:3群4枚●フィルター径:φ46ミリ●マウント:ソニーE、富士フイルムX、マイクロフォーサーズ●大きさ・重さ:φ69.9×50.8ミリ・138.9グラム●価格:オープン(実売3万4300円)●URL:http://lensbaby.com/ja/