
坂崎:高見沢がその視点で、アルフィーのための曲を書いているからね。世の中のバンドは、それぞれ自分の曲を書いて1人がメインを取ってあとはサポートする、というパターンが多いし、自分の音楽をやるためにソロになる人も多い。アルフィーはすべてがアルフィーのための音楽ですから。
桜井:システムが違うんです。ただ、怖いですよ。自分では気がつかないことまで、高見沢は知っている。自分のよいところなんて、自分じゃわからないじゃないですか。
高見沢:それは知ってますよ、もちろん悪いところもたくさん知ってます(笑)。
坂崎:言えないこといっぱいありますから(笑)。
3人の絶妙なバランス
桜井:「HEART OF RAINBOW」を最初に歌入れした後、高見沢の顔が全然納得していないように見えたんです。もう一回歌い直したら、「これだよお前」って言われて、「なんだろうな」って。それが、歌い直しを聴いたときに、自分でもわかったんだよね。
高見沢:それぞれがミュージシャンとして独立していますから、良さを最大限生かすことが必要で、個性に合ったものも、長年やっているとだんだん明確になってくるんです。実を言うと、声も変わってくるし。
桜井:71歳なのに、2人とも耳がいいんですよ!
坂崎:桜井も耳はいいよ、形がね。
桜井:そう、俺、耳の形がきれいなのよ。
高見沢:桜井はすごいんです。自分の声だけで生きられる人なんです。声だけで音楽が成立する。自分の体に音を取り込むまでに時間はかかるけど、取り込んだら最強。坂崎はすぐ体に入るけど、すぐに忘れる(笑)。七色の声を持っているから、ハードなものから柔らかいものまでいろいろな歌にできる。アルフィーはこの絶妙なバランスが面白いんですよ。