
パートナーを探すより“女風”を選ぶ理由
西内さんは現在も毎月女風を利用している。だが、夫の死後は、女風に求めるものが変わったという。性的サービスを伴う“ホテルコース”ではなく、主に“デートコース”を利用するようになったのだ。
「夫とは30年以上一緒に過ごしたので、なかなか寂しさが抜けなくて。隣に男の人がいるだけで慰められるんです。今は若い男の子とホテルに行くより、大人の男性とゆっくり会話を楽しむほうが、心が満たされます」
デートは、30~40代のセラピストに、西内さんの趣味である美術館や神社巡りに付き合ってもらうなど、ほのぼのとした時間を過ごしているという。
ふと、気になったことがある。女風で寂しさを紛らわすのではなく、新たなパートナーを探すという選択肢もあるのでは? だが、西内さんは首を横に振った。
「夫以外を好きになりたくないんです。お金が介在して本当の愛情を求めない女風がちょうどいい。デートが終わると、私一人なんだなって寂しくなりますよ。でもその寂しさは、パートナーがいるほかの利用者さんも同じじゃないかな。楽しいひとときが終わると、それぞれの現実や日常に戻らなきゃいけないんです」
風俗でデートだけというのは意外な気もするが、西内さんに限らず、特に中高年女性には一定のニーズがあるという。デートコースの指名が多いという、女風セラピスト・洋平さん(40)に実態を聞いた。
色白で眼鏡をかけた姿が、真面目で清潔感のある印象を与える洋平さん。自身にデートの依頼が多い理由について、「親しみやすさ」を挙げる。
「エロ路線でブランディングしている20代のイケメンセラピストは多いですが、特に年齢層の高い利用者からは『私が可愛くないから雑なプレイしかしてくれない』といった声もよく聞きます。普通の40歳男性である私は、『自信がない方でも一緒に楽しみましょう』とハードルの低さを売りにしていて、女風業界では特殊だと思います」