第3話の場面から(c)テレビ朝日
第3話の場面から(c)テレビ朝日
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 阿部サダヲ×松たか子主演の“マリッジ・サスペンス”「しあわせな結婚」(木曜夜9時、テレビ朝日系)の第3話が放送され、物語はついに決定的なすれ違いと、不穏な記憶の扉を開けた。タイトルは「殺人の記憶」。その名の通り、主人公・幸太郎(阿部サダヲ)と妻・ネルラ(松たか子)の関係は、信頼という土台ごと揺らぎ始める。果たして、ふたりはこのまま道を違えてしまうのか?

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夫婦のはずが検事と被疑者に? 信頼が崩れる瞬間

 ネルラにかけられた殺人事件の疑惑。あるきっかけで、ネルラの封じ込めていた記憶が断片的に蘇る。15年前の事件の真相に、一歩近づいたかに見えた瞬間だった。

 しかし、ネルラの発言を聞いた元検事で弁護士の幸太郎は、思わず彼女を問い詰めてしまう。その口調はまるで尋問のよう。「夫婦として寄り添いたい」という幸太郎の気持ちは空回り。「依頼者に信用されてない弁護士ほど惨めなものはない」とまで言ってしまい、ネルラの心の堤防は決壊する。

「俺、もう無理だ」と幸太郎は立ち去り、一人暮らししていた元のマンションに戻った。ネルラは、そんな彼のことを「行かないで」と引き止めることもなく見送る。この瞬間、「しあわせな結婚」というタイトルが皮肉に響く。ふたりはもう、夫婦ではいられないのだろうか?

 ネルラの記憶に浮かんだのは、かつての婚約者・布勢(玉置玲央)の遺体、そしてその傍らに立つ何者かの足。顔はわからず、ただ「そこにいた」というだけ。視聴者の脳裏によぎるのは、第1話から不穏な存在感を放っていた刑事・黒川(杉野遥亮)の影だ。しかし第3話に黒川は一切登場せず、意図的に沈黙させられている。

 もう一人いた別の人間は、黒川なのか? それとも、まったく別の人物? ネルラは、すでに真相や真犯人の存在に気づいているのではないか、という考察もありえる。答えのすべては霧のなかだが、「見知らぬ足」が物語る新たな謎に、視聴者の考察熱が燃えているのは確かだ。

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