「水難民」を受け入れるか、拒否するか

 こうした中国の水危機の波に対して日本はどう備えるべきだろうか。

 第一に、北海道をはじめとする水源地の保全と法的保護の強化である。水源地に対する外国資本の土地取得に対して、事前審査や取得後の監視制度を導入するなど、実効性ある制度設計を構築すべきだ。

 第二に、日本政府は将来的な「水難民」「経済移民」への受け入れ方針を明確化すべきだ。中国からの大量移住者を受け入れるのか、拒否するのか。その姿勢が曖昧なままでは、国内の混乱を招くだけでなく、外交的対応も後手に回る。

 第三に、日本は水の重要性を再認識し、自国の水資源戦略を国家安全保障の中核に位置づけるべきである。

 繰り返すが、中国の水危機は対岸の火事ではない。もし本当に起これば、日本も無事では済まない。日本側は情報収集を欠かさず、準備を怠らないようにしたい。

(白川 司:評論家・千代田区議会議員)

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