
三菱銀行時代の系列だったDCカード、UFJ銀行時代に買収した旧日本信販のニコスカード、さらには系列カード会社の再編後に登場した三菱UFJカードといった複数のブランドが存在し、それぞれにおいて異なるポイントサービスが存在するのだ。実は、「Olive」に対して遅れて参戦となったのも、その辺りの事情が関係しているという。
「それぞれのカードブランドが別々のシステムによって管理されていたうえ、ポイントの付与条件も異なっていました。システムの統合を進めつつ、付与条件の統一までたどり着いたというのが現状です。システム統合が完了すれば、2026年度中に本格導入する予定のエムポイントに一本化されることでしょう」(菊地さん)
なお、MUFGが5%の出資を行っていることもあってか、従来より三菱UFJ銀行では投資信託への積み立てなどの所定条件を満たせば、三菱商事の関連会社が運営するPontaポイントも付与されてきた。エムポイントの登場後は、Pontaポイントとのすみ分けも気になる。
MUFGは2026年度後半にデジタルバンクも設立予定
口座獲得のための高還元率提示と聞けば、いずれは付与条件などが改悪されるのではないかと懸念する読者もいるだろう。
「同じ還元率を掲げていますが、SMFGのほうが戦術が巧妙と言えるかもしれません。タッチ決済に限定した還元率で、おのずと高額の買い物は対象外になってきます。その点、タッチ決済以外も対象としているMUFGのほうが負担が重くなってくるでしょうが、月々の付与条件を設けていますし、高還元率が適用されるスーパーも多いので、コメをはじめとする物価高に嘆く人たちから歓迎されそうです」(同)
「Oliveフレキシブルペイ」のような多機能カードを新たにリリースしたわけではないことも、ある意味では「エムット」のハンデとなっていると言えよう。「Olive」はアプリ上で決済方法を容易に切り替えられるのに対し、「エムット」でポイント払いを行うには「グローバルポイント Wallet」という別のアプリにチャージする必要が生じる。
ただ、MUFGは2026年度の後半にデジタルバンクも設立する予定である。グループ内の膨大な顧客データをAI(人工知能)で分析し、一人ひとりに最適な資産運用プランなどを提案する「MAP(Money Advisory Platform)」を構築するという。このデジタルバンクと「エムット」との連携も期待されるところだろう。オンライン上でサービスを提供する点はネット銀行と共通しているが、最先端の技術をフル活用してアプリ上で手続きが完結するのがデジタルバンクの特徴だ。