ケロッグ校は「パーティースクール」とも言われたほど、パーティーが多い。チーム仲間を大事に、という校風からだが、勉学との両立が前提だ(写真/狩野喜彦)
ケロッグ校は「パーティースクール」とも言われたほど、パーティーが多い。チーム仲間を大事に、という校風からだが、勉学との両立が前提だ(写真/狩野喜彦)
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 日本を代表する企業や組織のトップで活躍する人たちが歩んできた道のり、ビジネスパーソンとしての「源流」を探ります。AERA2025年8月4日号では、国分グループ本社・國分晃社長が登場し、「源流」であるアメリカを訪れた。

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 事業のグローバル化が進んで「国境なき経済」が地球規模に拡大した四半世紀前、新聞の連載で取材した日本企業のトップは、海外勤務の経験者が3人に1人を超えた。でも、海外の大学や大学院へ留学したことがあるトップは、10人に1人だった。限られた事例からの比率だから、全体を正確には表していないだろうが、傾向は読み取れる。

 今回のこの連載では、どう海外勤務の経験があるトップは3人に1人強で、変わっていない。だが、海外留学をしていた人は5人に1人。比率は2倍になった。これまた傾向としては、世の流れと大きくは違わないだろう。

 海外留学が、トップの座へ即つながる「魔法」ではないのは、もちろんだ。でも、日本にいるだけでは得難い出会いや経験がある可能性は、高い。問われるのは、そこから何を得るか。留学経験があるトップが得てきたことは、当然ながら、多様だった。

 國分晃さんは米イリノイ州エヴァンストン市のノースウエスタン大学の経営大学院、ケロッグ校へ留学した。1996年8月、25歳のときだ。

 企業などのトップには、それぞれの歩んだ道がある。振り返れば、その歩みの始まりが、どこかにある。忘れたことはない故郷、一つになって暮らした家族、様々なことを学んだ学校、仕事とは何かを教えてくれた最初の上司、初めて訪れた外国。それらを、ここでは「源流』と呼ぶ。

名高い大学院の寮で同時に始まった留学生活と新婚生活

 7月初め、ケロッグ校を連載の企画で一緒に訪ねた。マーケティングを学び、市場の実情と合理的な判断を大事にする國分晃さんのビジネスパーソンとしての『源流』が、流れ始めた地だ。2年前にシカゴへ出張したときに車でキャンパスを通ってみたが、じっくり歩くのは、MBA(経営学修士)を取って以来2年ぶりかもしれない。

 マーケティングで名高い教授らが、世界から集まる留学生に教えた大学院。慶應義塾大学法学部を卒業後に2年いた食品・飲料のグローバル企業の日本法人で、上司の米国人に高い評価を聴き、「ぜひ自分も」と推薦状を書いてもらい、やってきた。

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