大学の事務棟から近い、マクマナスセンターと呼ぶ、夫婦で入ることができる寮へきた。ここで、留学生活を始める2カ月前に結婚して妻も一緒にきたから、留学生活と新婚生活が同時に始まった。
夫婦でいた4階へ上がる。431号室から433号室の並びの前で「住んでいたのはここか隣。大きめの居室と寝室があった」と振り返る。いろいろなタイプの部屋があって抽選で決まったが、自分たちは1DKで約50平方メートル。前に住んでいた人が置いていってくれた家具を安く買い取り、新婚の2人には十分な部屋だった。
ケロッグ校の授業は、講義と事例研究が半々。事例研究は数人のグループでまとめるが、別のところに住む級友もやってきて、寮の勉強部屋で作業した。わざわざ外へ出なくていいので、よく使った。
でも、1階にあった大きめの勉強部屋は、探したがみつからない。四半世紀のうちに、部屋割りが変わったのか。階上にある小ぶりの勉強部屋は、当時のままだった。
2年間、すごく勉強させられた。事例研究は担当部分を自分で調べ、考え、どれを選ぶか決める。市場の実情と合理的な判断を大事にするという『源流』を生んだ、訓練だった。多様な国からきた人たちと過ごし、いま海外に事業の関係者がたくさんいるが、違和感なく仕事ができるのはこの日々のおかげだ。
ノースウエスタン大は音楽校もあり、妻はチェロを習った。自由な時間をみつけて、やはり楽しかったようだ。
エヴァンストンは「大学の街」で、大学が街になっている、とも言える。寮のマクマナスセンターから車でちょっと移動するだけで、次の目的地へ着いた。大学名が書かれ金属製のアーチをくぐって入ると、樹々の中に、校舎などが現れる。よくリスをみかけたところだ。もう少し先へいくと、図書館の前に出た。
図書館に籠もってやった試験勉強窓からみえた湖
横に広く、当時のままの一角もある。上の階へいくと、樹々とは逆側の窓から、ミシガン湖がみえる。ここへ、試験の前によくきた。寮の部屋でも勉強したが、ここは籠もると言うか、音もほとんどなく、集中するには一番いい。