もちもちとした食感と柑橘の甘酸っぱい味が人気のボンタンアメ(セイカ食品提供)
もちもちとした食感と柑橘の甘酸っぱい味が人気のボンタンアメ(セイカ食品提供)

一時的に尿意を抑えることは「あり得るかも」

「科学的根拠はありませんが、一時的に尿意を抑えることはあり得るかもしれません」

そう話すのは、「所沢いそのクリニック」(埼玉県所沢市)院長の磯野誠医師だ。

「ボンタンアメは、原材料に水飴やもち米など糖質を多く含んでいます。これを摂取すると血糖値が上がり血液の浸透圧が高まって、体内の水分が尿として排出されにくくなる可能性があります。また、血液の浸透圧が高まると抗利尿ホルモンの分泌が促され、尿の生成が一時的に抑えられることがあります」

 ボンタンアメでなく、大福やアイスクリームといった甘い食べ物でも同じ効果は期待できるという。ただ、ボンタンアメの場合、「ボンタンアメが尿意を消してくれる」という噂が広がっていることもあり、偽薬が効くといういわゆる「プラセボ効果」で、より尿意を感じにくくなっているのだろうと推察する。

食べすぎと膀胱炎に注意を

 とはいえ、いくら尿意を抑えるからと信じて食べるにしても、注意が必要という。

「ボンタンアメのようなお菓子は糖質を多く含むので、食べすぎると糖尿病のリスクが高まり、高血圧や肥満などの合併症を引き起こします。食べすぎはよくありません」(磯野医師)

 一般の人の排尿の間隔は3時間ほど。トイレが気になる人は、映画の前は少し水分を抑えてもいいかもしれない。ただし、夏場は水分を控えると脱水のリスクがあるので、我慢しないでほしいと磯野医師は注意を促す。

「しかも、尿を我慢すると、特に女性は膀胱炎になりやすく、再発を繰り返すと腎臓に負担をかけてしまいます。映画の途中でも、トイレに行きたくなったら、無理せず行ってください」

 トイレかボンタンアメか――。その効果はさておき、トイレを我慢するかどうかは、くれぐれも自己責任で。

(AERA編集部・野村昌二)

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