完全試合を達成した水戸啓明のエース、中山優人投手
完全試合を達成した水戸啓明のエース、中山優人投手
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 夏の甲子園出場を目指す高校野球の地方大会もいよいよ佳境を迎え、今週末から来週にかけて多くの地区で代表校が決定する。ドラフト候補となる選手の多くが最後のアピールの場となるが、特に光るプレーを見せた選手についてピックアップして紹介したいと思う。

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 まず関東で驚きのパフォーマンスンを見せたのが水戸啓明のエース、中山優人(3年・投手)だ。最高成績は今年春の県大会ベスト8とそこまで目立った実績があるわけではないが、夏前にスカウト陣からも頻繁に名前を聞いた投手である。

 迎えた7月21日の水城戦、中山は先発のマウンドに上がると1人の走者も許さず、14奪三振で完全試合を達成してみせたのだ。ちなみに相手の水城は春の県大会で準決勝に進出した強豪であり、そんなチームを相手にこれだけの投球を見せたのは驚きである。筆者が中山の投球を見たのは、水城戦の前のつくば国際大高との試合だったが、その時も7球団のスカウトが視察に訪れていた。

 181cm、65kgとまだまだ体は細いものの、良い意味で力感のないフォームから楽に腕を振って140キロを超えるボールを投げ込むことができる。ストレートと変化球で腕の振りが変わらないのも特長で、つくば国際大高との試合では走者を背負っても落ち着いた投球を見せていた。水城戦から中1日で迎えた準々決勝の藤代戦では疲れもあってか立ち上がりから苦しみ、7回を投げて被安打12、4失点で敗退しており、スタミナ面には課題が残るものの、将来性の高さは十分だ。プロ志望となれば獲得を検討する球団も多くなるだろう。

 スケールの大きさで目立ったのが享栄の小山隼和(3年・投手)だ。1年夏から公式戦で登板するなど早くから評判になっていた大型左腕である。

 昨秋、今春は県大会で早々に敗れてアピールする機会が乏しかったが、春から夏にかけて大きく成長。5回戦ではシード校の豊川を相手に4回からリリーフでマウンドに上がり、6イニングを2失点に抑えて見事にチームを勝利に導いた。

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