![[撮影:蜷川実花/hair & make up 竹内美徳/styling 丸本達彦/costume エストネーション BERLUTI(Steady Study Ltd.)]](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/6/b/846mw/img_6b7b06270cc3aeeae0d50ddb77eeb6821678910.jpg)
ドラマ「19番目のカルテ」で患者から話を聞き取る総合診療医を演じる松本潤。初めて挑む医療ドラマに、どう向き合ったのか。AERA 2025年7月21日号より。
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僕らがやらせていただいているエンタメの仕事は“暇つぶし”だと訳す人もいる。でも、人の心を豊かにするという意味で、“彩り”はあったほうがいいし、届けることに社会的な意義がある作品もあると思うんです。「19番目のカルテ」は、まさに2025年の今だからこそ描けた医療の形や、人と人の関わりを温かく伝えるドラマで、そういう作品を届けられることは、俳優としてやりがいや喜びを感じます。
取材して役作り
──冷静な語り口の奥にはものづくりへの情熱と自信が滲む。昨年は独特のセリフ回しと身体表現が求められるNODA・MAPに初参加、高い評価を得るなど、表現の幅を広げている。「19番目のカルテ」はキャリア30年目にして初めて挑む医療ドラマだ。
新しいことというか、まだあまり世の中に知られてないことをやっているイメージを持っていただいていたようで、近年できた新しいジャンルである「総合診療科」を描くドラマだから僕にお声がけしてくださったのかなと思います。
──演じるのは総合診療科の医師、徳重晃だ。総合診療医とは、患者の訴えを丹念に聞き、問診を重ね、心や生活背景まで診ていくことでベストな治療に繋げる専門医だ。病気を治す、ではなく人を診るスペシャリスト。役作りのために取材も行った。
恥ずかしながら、このお話をいただくまで総合診療科を知らなかったんです。実際どういう世界なんだろうと、医療監修の生坂(政臣)先生に取材する機会をもらってお話を伺うと、とても幅広い視点で人を診ていく診療科だと知りました。医療も効率化が優先されるこの時代に、患者から長時間話を聞いて、病気の背景にある心の状態や生活背景も含めて診る。その上で可能性を一つ一つ潰していって適切な治療に導くという話はとても印象に残りました。問診する具体的な流れを聞いたり、気になることを質問してディスカッションしたり、役作りをする上で、この取材はかなり役立ちました。