AERA 2025年7月21日号より
AERA 2025年7月21日号より

──原作の漫画では描写できない徳重のしゃべり方や、居方など細かい部分は制作陣と話し合いを重ねた。

なるべくゆっくり話す

 患者として来る人が子どもなのか大人なのか、どんな状態なのかによって、こちらが醸し出す空気感や距離感、会話のリズムみたいなものを変えることは意識的にやっています。基本的にドラマの会話は日常生活の会話よりも速いし、それが染みついているところがあって、加えて僕はせっかちなので、「なるべくゆっくり話す」はすごく意識しました。

 このドラマならではの柔らかい空気感を持つ人物を表現するために、柔らかいものとか、白いもの、温かいものを頭の中でなるべくイメージするようにしています。顔は変わらないんで、心持ちを変えようと思って(笑)。

──徳重が持つ「聞く力」は、自身と重なる部分もあった。

 徳重はポワポワした柔らかい雰囲気を持つ人ですが、診療の場ではそれを意図的に活用しているように感じるんです。ただ優しいだけではなく、患者の状態を診ながら、「どう話を広げるか」「どこに導いていくか」を考えて行動しているようで、すごく頭を使って動く人物なんですよ。そこは自分とちょっと重なる部分もあります。僕も「問診」というわけじゃないけど、友人と久々に会うときは、この人はいま何が楽しくて何にハマっていてどんなことが気に食わないのか、さり気なく、でも意図的にキャッチアップするようにしています。普段生活している中では得られない情報を得られて刺激になるし、面白いからやってるんですけど。そういうときの僕の話の聞き取り方とかしゃべり方、人との接し方は、徳重の問診シーンに滲み出ている部分はあると思います。

(構成/ライター・大道絵里子)

AERA 2025年7月21日号より抜粋

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