「柱稽古編」のティザービジュアル(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
「柱稽古編」のティザービジュアル(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable
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 劇場版『鬼滅の刃~無限城編~』の公開を記念した、全七夜特別放送の第六夜が16日、放送となる。柱稽古前編となる今回は、来たる鬼舞辻無惨との決戦に向け、鬼殺隊最強の剣士《柱》と鬼殺隊士たちの《柱稽古》が始動する。1000年以上のルーツがあるとされる《鬼殺隊》。鬼と戦い続けてきた彼らについて過去の記事で振り返る(この記事は「AERA dot.」に2023年8月30日に掲載されたものを再編集したものです。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

【鬼殺隊「最強」と言われる“柱”はこちら】

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【※ネタバレ注意】以下の内容には、「最終決戦」のエピソードの一部、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。

『鬼滅の刃』「刀鍛冶の里編」が終わり、次に予定されているのは「柱稽古編」だ。これは比較的短めのエピソードであるものの、「柱」の話だけでなく、今まで名も知らなかった若い隊士たちの、日常の姿が生き生きと描かれる。隊士らは、血のにじむような訓練の合間には仲間たちと楽しそうに笑い合うなどしており、その姿は年相応の少年である。鬼殺隊は、命をかけて仲間を守る献身性から「特攻隊」と重ね合わせて解釈されることがある。だが、「柱稽古編」に登場する隊士と「柱」たちの思いを知れば、それは誤解だとわかる。彼らが戦いに臨むときの心情、仲間への思い、未来への願いなどを改めて考察したい。

「鬼と人間との戦い」とは何か

 鬼殺隊の隊士たちは、決死の覚悟をもって鬼と戦っている。鬼のパワーは圧倒的で、加えて、すぐに肉体修復できることもあり、鬼との戦闘は「無謀な戦い」のように見える。そのせいか『鬼滅の刃』の解釈の一部に、「鬼殺隊=特攻隊」「鬼との戦い=実際に過去にあった日本の戦争」を示しているのだと断定的に解釈しているものもある。文化人のラジオ番組や、動画やSNS上の記述にも、少数ながらも同様の意見が見られるのだが、それはあくまで印象の範疇であって、物語の文脈的にこれを肯定することはできない。

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