役を演じた声でドラマの紹介をしてほしい、と無茶振りをされた向井に、マーチが耳打ち。二人の接近に会場から悲鳴のような歓声が上がる。このあと向井はジュンジではなく、ゲームのキャラクター・ユカのかわいい声で宣伝、会場を爆笑させた。その様子をにこにこと見守るユド(右端)とフルーク
役を演じた声でドラマの紹介をしてほしい、と無茶振りをされた向井に、マーチが耳打ち。二人の接近に会場から悲鳴のような歓声が上がる。このあと向井はジュンジではなく、ゲームのキャラクター・ユカのかわいい声で宣伝、会場を爆笑させた。その様子をにこにこと見守るユド(右端)とフルーク

 こうした感想が漏れた理由のヒントは、上映前のトークに隠されていた。

 司会者に「向井さんから学んだこと、一言お願いします」と振られたマーチが、「本音の答え?」と茶化してみせつつ、こう明かした。

「僕は10年以上のキャリアがあるけど、康二は、演技力の特別さっていうエナジーを僕に教えてくれた。まず、撮影に入る前ってだいたい打ち合わせをしたり、話し合いをしたりするんですけど、康二とは国も違うし、タイミングも言葉も違うので、そういうことをあまりしていない。本当に、その場に入って本番っていう、ぶっつけ本番みたいなかたちが多かったので、そこでのリアクションとやりとりがものすごくフレッシュで、僕にはすごくよかった。

 だから、これはもう、演技を超えた2人のやりとり。台本とかそういうのも置いておいて、本当に本当に、2人の人間がやりとりをした、演技を超えた演技です」

 そう明かしたあと、「僕だけしゃべってると、僕だけ舞い上がってんのかなと思っちゃうから、康二もコメントしてよ」と照れながら促すマーチ。

 向井はすぐに、「僕も同じ。マジックモーメントだった」とタイ語で答えたあと、真剣な表情で、日本語で続けた。

「マーチくんとお芝居するにあたって、いつもとは違ったんですよ、芝居する感覚が。マーチくんも言ったとおり、お芝居じゃなくて、本当にジュンジとヒル。役に入り込むって、あんまり言わないんですけど、本当にそんな感じですね。だから、あんまり打ち合わせしないで、僕の初めてのジュンジをヒルに見せたかった、っていうのもあるし、マーチくんはそれをたぶん受け止めてくれる存在だから、甘えてたし。

 初めて、カメラ前で合わせたかった、っていう気持ちがあります。そのためにタイ語もめっちゃ勉強したし、迷惑もかけたし……すごい、ね、感謝してます」

次のページ 「ギャップ」を楽しむキャラ