
棺の隣で、呪いの言葉を延々と保存し続けた
――花さんは番組内で、SNS上のバッシングに傷つく共演者の女性に対し、「何も知らない人たちがこう思う、ああ思うって言ってることってあんまり意味なくない?」と諭していました。それにもかかわらず、なぜ花さんの心は誹謗中傷にむしばまれてしまったのでしょうか。
あの言葉は、実は私が花に伝えていたことなんです。プロレスラーとしてデビューした花が、ネット上に悪口を書かれて落ち込んでいた時、「人前に立つ人間は、誰に何を言われてもぶれちゃいけない」って。花は共演者の子を励ますと同時に、自分にも言い聞かせていたのかもしれません。
プロレス界にいるだけだったら、その言葉で身を守れたと思うんです。でもテラスハウスを機に、以前とはけた違いの誹謗中傷が寄せられて、押し流されてしまった。
番組スタッフは花の自傷行為を把握していたにもかかわらず、5月19日に「コスチューム事件」の回を地上波で放送し、SNSでの炎上が再燃しました。そして23日午前3時過ぎ、花は「ママごめんね。もう頑張れない。ずっと辛かった。ママ、幸せに生きてね」というメッセージを残し、旅立ちました。
――響子さんは、テラスハウスの番組作りは「誹謗中傷を使った炎上商法」であり、花さんはその犠牲となったと訴えています。花さんの死後すぐに、フジや制作会社との闘いが始まったのですか。
フジからは花の死の数日後に「話がしたい」と連絡がありましたが、まだお葬式も終わっておらず、家から出られず何も考えられない精神状態だったので断りました。謝罪の意向が示されなかったことにも強烈な違和感があり、都合のいい主張を並べられて言いくるめられるのではないかと恐怖を感じました。
ただ、花が亡くなった翌日から、警察の指示通り、誹謗中傷をした人の情報開示請求をするための証拠集めに取りかかりました。花の棺の隣で、食事も睡眠もとらず、ひどい呪いの言葉を延々と保存し続ける。地獄のようでした。しまいには頭も心も文字を読むことを拒否するようになりました。家族や友人からの心配のメッセージでさえも、何を言っているのか理解できない。全員に「ありがとうございます」とだけ返しました。