取材中、カメラを向けられた響子さんは不安そうな顔を見せた。「少しでも笑うと『娘の死が悲しくないのか』とバッシングを受けるので、どんな顔をしていいのか分からなくて」(撮影/工藤隆太郎)
取材中、カメラを向けられた響子さんは不安そうな顔を見せた。「少しでも笑うと『娘の死が悲しくないのか』とバッシングを受けるので、どんな顔をしていいのか分からなくて」(撮影/工藤隆太郎)

「悪意のある編集をされる」とこぼした花さん

――2020年3月31日、共演者の男性が花さんのプロレスのコスチュームを誤って洗濯乾燥機にかけ、縮んで着用不可能にしてしまう「コスチューム事件」のシーンがNetflixで放送されました。男性の帽子を投げ捨てるなどして非難した花さんに対し、SNS上では「死ね」などと誹謗中傷が相次ぎましたが、その時の花さんはどのような様子でしたか。

 放送日にリストカットをしました。私は「自分にとって大事な人たちと、大事な人たちが大事に想う自分を絶対に見失うな」とメッセージを送り、花はそのスマホ画面をスクリーンショットで保存してくれていました。ずっと花のそばにいた友達の話では、花は「心は死んでいたけど、みんなが優しく守ってくれたから頑張れた」と言っていたそうです。

 テラスハウス出演にあたっては、放送内容に関する守秘義務や、違反した場合に多額の損害賠償義務を負う同意書にサインをさせられていたので、花自身から番組への不満を聞くことはほとんどありませんでした。

 でも一度だけ、「すごく悪意のある編集をされることがある」「あの人たち(番組制作陣)は、出演者のことを人間だと思ってない」と、涙ながらにこぼしたことがありました。花は番組スタッフの人たちと仲が良かったようで、自分の攻撃的な姿ばかりが切り取られた放送を見て、余計に裏切られた気持ちになったんだと思います。

 私が「そんなに大変な思いをするなら出演を辞めてもいいんじゃない?」と提案すると、「辞めたいのになかなか辞めさせてもらえない」と返ってきました。亡くなる1週間前の出来事でした。

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