
アフロの自分でなければ闘い続けられない
四十九日を過ぎたころ、さすがにこのままではいけないと思いました。メディアから取材依頼も来ていたので、這ってでも家から出て、花の名誉回復や再発防止のための活動をしなければと。一番強い自分になるために、髪形をストレートからプロレスラー時代のアフロに戻しました。「そんなおかしな髪形の母親だから娘もおかしくなるんだ」などとよくバッシングを受けますが、アフロの自分でないと、こんなにもつらい闘いは続けられません。
――響子さんはその後7月、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会に対し、テラスハウスの制作過程において花さんへの人権侵害があったと申し立てをしました。フジや制作会社を提訴する前に、BPOに働きかけたのはなぜですか。
フジには真相究明のために第三者委員会を立ち上げてほしいと思っていましたが、会見などを見る限り、フジは内部調査で十分だという姿勢を崩しませんでした。番組作りの問題点を洗い出し、二度と犠牲者を生み出さないよう対策を取ってもらうためには、BPOの仲裁が必要だと考えたんです。
しかし、翌年3月に公表されたBPOの見解にはがっかりしました。花の精神的な健康状態への配慮が欠けていたのは放送倫理上の問題はあるが、人権侵害とまでは言えないという及び腰な内容でした。中立な立場のはずのBPOも結局は身内に甘い組織なのかとショックを受けると同時に、このままでは花の死の真相がうやむやにされてしまうという焦りを抱き、フジと制作会社に対して裁判を起こすことに決めました。
【後編】<「フジ中居問題は防げたはず」 テラスハウス問題で自死した木村花さんの母・響子さんが悲痛な訴え>に続く
(聞き手・構成/AERA編集部 大谷百合絵)
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