単身者は老後が不安
老後への不安を感じている単身者も多い。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、一人暮らしをする65歳以上の高齢世帯の割合は増え続け、2050年には32都道府県で20%を超える見通しとされている。一人暮らしの高齢世帯は、今後大都市圏で大きく増えることが予想されるため、医療や介護サービスなどの体制整備が急務となっている。
「シニアの単身世帯は、夫婦世帯に比べて年金が少ない分、貯金の取り崩しが多くなりがちです」
こう話すのは、老後資金の相談実績も豊富なファイナンシャルプランナーの有田美津子さん。厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、65歳以上の男性の厚生年金受給額の平均は月に約17万円で、男性の国民年金受給額は月に平均約6万円。一方、65歳以上の女性の厚生年金受給額の平均は月に約11万1千円で、女性の国民年金受給額は月に約5万6千円だ。一般的に男性のほうが高い給料であり勤続年数が長いため、男性より女性のほうが受給額が低い傾向にある。有田さんは言う。
年金生活に入るとギャップ
「単身世帯は、現役時代は自由に使えるお金が多いのですが、年金生活に入ると経済的なギャップが大きくなりがちです。そのためにも老後の蓄えは必要。現役時代の感覚のまま、貯金を早めに取り崩すことのないよう、計画性も大切になります」
取材の中でも、「一人で稼ぎ続ける生活への不安は大きい」と話した女性がいたが、こうした経済的な不安も、不公平感を感じさせる要因の一つかもしれない。
今後10〜20年で、単身の高齢世帯は大幅な増加が予想されているが、単身で老後を迎えるには、それなりの備えも必要になってくる。