(写真はイメージ/gettyimages)
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 男も女も、結婚して初めて一人前——。性別ではなく、個人としての生き方が尊重されるべき令和の現代にあって、そうした固定観念が色濃くあらわれる瞬間というのは、いまだに存在するようだ。単身者の「いま」を取材した(全6回のうち6回目)。

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「結婚」は社会的信頼を保証?

 例えば、普段の何げない会話の中で聞かれるこんな一言。

「結婚して、子どももいるんだから、もう立派な大人でしょ」

 言葉そのままに、“結婚して子どもがいる人=立派な大人”という価値観がにじんだ一言だ。

 先の記事(第3回)で単身女性が語った「いい年して、まだフラフラしてるのかっていう目で見られるのがしんどい」という声も、今回取材をした女性たちの多くからあがってきた言葉だ。一定の年齢になったら、結婚するのが当たり前。結婚したら、子どもがいるのが当たり前——。結婚していることによって、社会的地位や信頼が保証される雰囲気。そして、子どもがいるかどうかによって、それがさらに強固なものになるという空気だ。結婚していない理由を聞かれることも違和感があるが、「“結婚しない”んじゃなくて、“結婚できない”というふうに見られる」と話した女性もいた。

都内の単身世帯は50%超

 いま、東京都内の世帯は、半分以上が一人暮らしだ。未婚率の上昇などもあり、今後ますます単身化が進むという見方も強い。

 2020年の国勢調査によると、東京都内の単身世帯は362万5810世帯で一般世帯全体の50.26%となり、初めて半数を超えた。都の予測を上回るペースで単身世帯が増加しているのが実態だ。ビジネスの場でも家庭でも、性別に関係なく、個人のあり方が尊重されるべきであり、価値観の多様化が進み、幸せの形は人それぞれであるのが当たり前とされている。

 にもかかわらず、“独身=生きづらい、肩身が狭い”という声は決して少なくない。国をあげて少子化対策に取り組む現在、全国の自治体が、結婚・出産・子育てへの支援に力を入れる動きも相まって、「結婚もせず、子どもも産まない生き方は、社会から尊重されていない空気を感じる」という声もある。 

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