子育て世帯の恩恵は大きいのに
「子どもって本来は自己責任で産むものだと思うけど、なぜ子育てになると、“社会が”とか“地域が”という文脈になるのかな。都の子育て支援の財源も、結局は都民の税金から出ているわけで、不公平感がすごいと思う。子育て世帯の恩恵は大きいのに、独身の私たちは持っていかれるだけ。都では無痛分娩の費用を助成するという方針も発表されていますけど、正直『そこまでする必要ある?』って思っちゃいます。独身の立場からすれば、都の税金の使い方は、フラストレーションが溜まる一方ですよ」
単身者のための施策も考えて
都内の外資系金融機関で働く女性(43)も、教育費の無償化の流れを見ると、「他人の子どもの教育費をなぜ払わないといけないのか」というモヤモヤが募るという。3人以上の子どもを扶養する「多子世帯」の大学の授業料を無償化する流れにも、「国の“産めるだけ産め”という無言の圧力を感じる」と話す。
女性は言う。
「進学に伴う家計の負担を減らすというのは、子育て世帯にとってはうれしい話だとは思います。ですが、独身の私たちからすれば、またそっちに持っていかれるのか、と思います。子ども1人を育てるのに2千万円以上かかるから子育て世帯は大変、だから社会的な支援がもっと必要だというけれど、私からすれば“それも織り込み済みで産んだのでは?”と言いたくなる。もちろん、子育て支援は必要だとは思うけれど、都会ではこれだけ単身者が増えているのだから、同時に単身者のための施策も考えてほしい」
こうした声は、地方でも聞く。古い価値観が残る地方では、単身者は特有の生きづらさを感じるという声もある。
(ライター・松岡かすみ)
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