各社での多様な取り組みや課題を共有することで、新たな気づきを生んだ。DE&I施策が進むフィンランドの取り組みには驚きと納得の声も上がった(写真:写真映像部・東川哲也)
各社での多様な取り組みや課題を共有することで、新たな気づきを生んだ。DE&I施策が進むフィンランドの取り組みには驚きと納得の声も上がった(写真:写真映像部・東川哲也)
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 様々な社会課題を議論する「AERAラウンドテーブル」がスタート。第1回のテーマは、「DE&I」だ。各企業や省庁の責任者に、海外の視点も加え、対話を繰り広げた。参加者は、資生堂DE&I戦略推進部長・山本真希さん、日本航空人財本部副本部長・江尻祐子さん、ローソン人事企画部長・岩田泰典さん、経済産業省・経済社会政策室長・相馬知子さん、フィンランド大使館上席商務官・渥美栄司さん。AERA 2025年7月14日号より。

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木村恵子(AERAブランドプロデューサー):今回は「DE&Iをどうするか」というテーマで、議論を深めたいと思います。まずはジェンダーに関する課題と、各社の取り組みについてお願いします。

山本真希:資生堂は女性社員が8割を占めており、店頭の美容職をのぞくと、ほぼ男女半々の会社です。今年、女性管理職の割合は41.1%まで伸びましたが、それでも女性管理職比率が2桁に乗ったのは2003年でした。

江尻祐子:JALは、社員の男女比率は概ね半々、女性管理職比率は31.5%です。ただ、女性パイロットは2%程度、整備士も10%未満、その一方で、旅客サービス、客室乗務員は95%前後が女性です。サステナブルな人財確保のために、この職種によるジェンダーギャップを改善していかなければなりません。女性が、ライフイベントとキャリアを両立し、より長く働ける環境を、全ての職種で整えていきたいと考えます。また、女性のライフ・キャリアの両立には、男性の家庭への参画が欠かせません。当社は、男性の育児休業取得率100%を掲げ、家庭での仕事も男女均等となる取り組みを進めています。このようなキャリア、家庭、双方のアプローチが、航空業界の課題である男女間賃金差の縮小にもつながると考えます。

資生堂・DE&I戦略推進部長 山本真希さん(写真:写真映像部・東川哲也)
資生堂・DE&I戦略推進部長 山本真希さん(写真:写真映像部・東川哲也)

適切な業務アサイン

岩田泰典:逆にコンビニは当初男性のお客様が多く、弊社の社員も9割以上が男性でした。最初はそれでビジネスも成長していたのですが、やはりこのままではいけないと、2004年ころから、新卒の採用比率を男女5:5にいたしました。ただ、新卒で入社し、30歳手前くらいの社員の退職比率では、10%ほど女性が多くなっています。退職事由は「何となく不安」。キャリアを含め、女性の方が何となく感じる不安に対して、女性向けの研修を増やすなど、退職の比率に差がなくなるように取り組んでいます。

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