トレードについても近年は積極的に仕掛けているものの、完全な主力となった選手は見当たらず、今年先発として勝ち頭になっている松葉貴大が目立つ程度である。ここ数年では現役ドラフトで獲得した細川成也、ソフトバンクを自由契約となって加入した上林誠知が大きな戦力となっているが、獲得の経緯を考えると幸運な要素が強く、編成の勝利とは言い難い。推定年俸3億円の2年契約で昨年獲得した中田翔も全く期待に応えることができておらず、コストのかけ方についても疑問が残る。

 現在のスタメンを見ても細川、上林以外にも山本泰寛、板山祐太郎、佐藤龍世など他球団から移籍してきた選手が並ぶことが多いが、彼らもそこまで実績を残しているわけではなく、上林、山本、板山は自由契約を経験した選手である。ただ生え抜きの選手の多くが、彼らを上回ることができていないというのがさらに大きな問題と言えるだろう。

 二軍を見ても他球団と比べて楽しみな若手が多いわけではなく、伸び悩んでいる選手が目立つだけに、いきなり成績が向上するとは考えづらい。そんな低迷するチームをどうやって立て直していくのか。果たして球団にそのビジョンはあるのだろうか。

(文・西尾典文)

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