
忖度(そんたく)ゼロの辛口経済評論家、山崎元さんが65歳でこの世を去ったのは2024年1月1日。20年近く連れ添った妻の薫さんに、元さんとの暮らしやお金について語ってもらった。聞き手は楽天証券の投資メディア「トウシル」の武田成央(さだちか)さん。山崎さんと朝まで飲み歩く仲だった。思い出話とともに場は盛り上がった。【本記事はアエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
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(武田)「なぜ楽天証券はこんな人を雇うんだろう」と思ったことがあります。
ロボアドバイザーが資産配分を提案する「楽ラップ」の発表会なのに、楽天証券経済研究所の研究員として出席した山崎さんはロボアドに対して冷ややかでした。「手数料が安いだけマシかな」なんておっしゃるし。
(山崎 薫)本人も「楽天はなんで俺を雇い続けてくれるんだろう」って言ってました(笑)、冗談交じりに。
(武田)山崎さんは「金融機関に嫌われても、本当のことを言う」という立ち位置を貫きましたね。
(山崎 薫)スポンサーに嫌われて講演の企画が流れることなんて、頻繁にありました。山崎が日頃何を言っていたのか、主催者サイドが事前の下調べをせずに講演を依頼しちゃうと、だいたい雲行きが怪しくなる。
本人は「ずいぶん損してるなあ」と言いながら、「ま、別のところで稼げばいい」と割り切っていました。
(武田)気持ちがいいくらいに「歯に衣(きぬ)着せぬ」でした。
容赦がなかった
(山崎 薫)前職のUFJ総合研究所(当時)では、山崎を採用した上司が出向したことで、社内で彼を擁護する人がいなくなりました。
するとレポート原稿の修正や発言の撤回を迫られるようになり、嫌気が差したようです。自由にモノを言えないのは、山崎にはがまんできないことでした。
(武田)ご自身の信念にすごく正直な方だったんだなぁという印象です。
山崎さんは手数料の高い外貨建て変額保険や長期投資に不向きな毎月分配型の投資信託には特に容赦なかったです。
「誰かが簡単に正解を教えてくれると思うな」と何度も。
