
アスファルトや遊具などの表面温度は、気温以上に高温となり、短時間の接触でも火傷の危険があります。たとえば、東京都消費生活総合センター[※1] は「日差しに熱せられた公園の遊具や舗装面は70℃以上になることもあり、短時間の接触でも火傷の危険がある」と注意を呼びかけています。
また、東京消防庁[※2] 「令和5年 熱中症による救急搬送の概要」によると、熱中症による救急搬送の発生場所は全体の34.7%が「道路・交通施設等」であり、65歳以上の高齢者では37.9%に上るとされています。高温の路面で転倒した際、熱中症だけでなく火傷を負う危険性も指摘されています。
地球温暖化による気温上昇に加え、都市化が進んだことによるヒートアイランド現象が猛暑に拍車をかけています。気象庁[※3] の観測では、気温35℃前後でも舗装面温度は60℃を超えることがあり、アスファルトが80℃以上[※4] に達した海外事例も報告されています。子どもや高齢者[※5] は視線が低いため、地表近くの温度が体感温度より高くなる点も見逃せません。
高齢者は「汗をかく力」などが弱まり
さらに、Kenneyらの研究(CMAJ, 2010[※6] )では、高齢者は若い人に比べて「汗をかく力」や「皮膚の血流を調節する力」が弱くなり、体の熱をうまく外に逃がせなくなることが示されています。特に、糖尿病や心臓病、肥満といった持病がある高齢者は、暑さに対する抵抗力がさらに低くなり、短時間の暑さでも体に大きな負担がかかり、熱中症など深刻な健康被害のリスクが高まるとされています。
熱中症対策として、水分補給やこまめな休息、冷房の使用はすでに広く知られています。それに比べ、転倒や火傷のリスクは十分に認識されていないと感じます。日陰を選んで歩く、転倒防止の靴や杖を使う、外出時間を工夫する――こうした日々のちょっとした意識が命を守る力になります。
私たちが今できることは、「熱中症対策をしているから、自分は大丈夫」という過信を捨てることではないでしょうか。
昨今の猛暑は、もはや他人事ではありません。熱中症だけでなく、転倒や火傷といった危険にも目を向け、猛暑への備えを日々の暮らしの中で自然に根づく習慣にしていくことが求められています。あなたや大切な人の命を守るために、この夏、どんな備えを始めますか。その小さな備えが、私たち自身を守る力になると私は信じています。
【参照URL】
[※1]https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.lg.jp/attention/kigai_okugaiyakedo.html
[※2]https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/heat/gaiyou.html?utm_source=chatgpt.com#anc_01
[※3]https://www.env.go.jp/content/900404649.pdf
[※4]https://www.cnn.co.jp/usa/35206954.html
[※5]https://tenki.jp/forecaster/t_kawahara/2024/07/20/29665.html?utm_source=chatgpt.com
[※6]https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2900329/
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