「子供の頃、蛇に噛まれたんですよ。(足の下の方を掴んで)ここん所、蛇だからスネ(脛)イクという……(ウケたので、ジャケットの襟を掴んで)ねづっちのです」
「ねずっち“の”ってなんだよ!」

 土屋のツッコミを受け流した塙が、ピョンと飛び跳ねて、再び同じポーズをとった。

「ジャンピングねづっちの、でーす」

 謎かけ名人ねづっちのスタイルを堂々と頂く塙。

ドジャースの大谷選手は今年もすごい記録を出すのでしょう。大谷選手って、成田空港みたいですね。世界の機体(期待)が集まるって。(またしても例のポーズをしながら)ねづっちの、でーす。私も今年は大谷選手に負けず、『50・50』を目指します。50個ボケて、50個パクります」

 ヌケヌケとした所信表明。今年もナイツVSねづっちの、大人げない高座バトルを楽しめそうだ。

写真・図版(2枚目)| 出演者はいつもの1.5倍 獅子舞も登場する正月の寄席 新宿末広亭の「全興行」に通い続ける演芸評論家の記録

寄席の層を厚くする浪曲、活弁…

 寄席の客席で浪曲の名調子に身を委ねるのは至福の時間だ。コロナ禍の前から自称「浪曲の伝道師」玉川太福が孤軍奮闘していたが、そこへ凄腕浪曲プロデューサーでもある玉川奈々福、先代が昭和の寄席で売れた三代目広沢菊春、浪曲師の最年少ながら声よし節よし啖呵よしの若手・国本はる乃が加入して、一気に芸協の寄席が華やかになった。

 今日は玉川奈々福が「左甚五郎・掛川宿」を唸って、あっという間に観客を「ナニワブシ」の世界に連れて行った。「東〜海道、掛川宿〜!」、とにかく声がでかい。節の切れ目になると「はい、ここらへんで拍手」。ボケボケの名絵師・狩野探幽と、偏屈な名工・甚五郎、二人がチラリと腕の冴えを見せたところで、「ちょうど時間となりました〜」。こんな調子で、浪曲はいつでもどこでも客に気を持たせて終わりにできるのだ。
 

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