楽曲「大人のくせに」で佐野は〈ひとりだってずっと歩いていけるぜ/そうさ、英雄もファシストも/いらない〉と歌っている。アルバム『SOMEDAY』でブレイクした直後に単身渡米。2004年には自主レーベルを立ち上げるなど、常にインディペンデントな活動を続けてきた佐野は現在も、何にもおもねることなく、自由な音楽活動を続けている。

「バンド名にあるコヨーテという動物は、基本的には一匹で行動しているけれど、獲物を狩るときには群れになる。メンバーとも『これって俺たちのことじゃないか』と話しています。一人ひとりが自立した存在であり、必要なときに集団を成し、目的を達成する。それは僕自身の考え方でもあります」

「ソングライティングしているとき、ライブで演奏しているときは、自分が何歳かわからなくなる」と楽しそうに話す佐野元春。デビュー40周年を超えた現在も充実した活動を継続し、音楽シーンの最前線で活躍する彼は、常に“今”がピークなのだ。

「コンサートではいろいろな時代の曲を演奏しますが、歌うときはすべて今の曲なんですよね。80年代から僕の音楽を聴いてくれる人にとっては、良きノスタルジーを感じることもあるでしょう。ただ、ひとつ言っておきたいのは、僕らは懐かしむために演奏しているわけではないということ。佐野元春において、“懐かしの演奏会”はあり得ない。僕は今を生き抜くために、今の音楽をやっているんです」

(森 朋之)

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