2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、金利を引き上げ、日本は約17年ぶりに「金利のある世界」となった。それに伴い、住宅ローンの金利は上昇傾向にある。

 最近では、共働き「2馬力」によるペアローンの借り入れや、返済期間を長く設定した50年ローンでの借り入れなど、希望する物件を購入するために、あらゆる手段を駆使して住宅ローンを組んでいる人も少なくない。

「不動産価格が上昇している現状を踏まえると、そうした行動はある程度やむを得ない面もあると思います。ただ、マイホームを購入した瞬間は大きな満足感が得られるかもしれませんが、返済が始まってからは、(返済金額による家計の圧迫などで)理想の生活と現実の生活のギャップに直面し、後悔につながるケースもあるでしょう」(前出の矢野さん)

違和感のない数字

 もし、そうした「後悔」があるのであれば、それを可視化し、これから住宅ローンを検討する方にとって参考となる情報を発信していきたい……。それが今回の調査を行うに至った動機のひとつだという。

「調査の結果を見て思っていた以上に、後悔している人が多いという印象を受けました。一方で、このリポートを発表した際に業界関係者へ共有したところ、あるファイナンシャルプランナーからは、『確かに後悔の声は多く、現場の肌感覚としては違和感のない数字ですね』というコメントもいただきました」(同)

 住宅を購入する際、多くの方は将来を見越して判断しているはずだ。しかし、その後、生活環境が変化したり、金利が変動したりと、世の中は常に変わり続けている。

「購入当時の判断が適切だったとしても、その後もその判断がずっとベストであり続けるとは限りません。そういった将来の不確実性が、後悔の一因になっているのではないかと思います」(同)

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