渡辺満里奈さん(写真/横関一浩)
渡辺満里奈さん(写真/横関一浩)
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 結婚当初から家事を“当たり前のように”担っていたという渡辺満里奈さん。しかし、いつしかモヤモヤするようになり、ちょっとした事件も起きました。50代を迎えてからは自分を縛らないと話す渡辺さんの「頑張りすぎない」家事の秘訣とは。(全2回の2回目/前編から続く)

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――家庭で家事シェアをするうえで意識していることはありますか。

 負担の割合にはそこまでこだわらずに、自分が担当している家事について、より要望を伝えるようにしています。洗濯はするし、畳むまではやるから片付けはお願いね、とか。それまでは黙々と淡々と、当たり前だと思ってやっていたので、お願いを口にすることでだいぶ楽になりました。

――要望することは夫婦お互いに意識していらっしゃいますか。

 よくよく考えてみれば、夫は自分が担当しているごみ出しには並々ならぬこだわりを持っていて、「明日のごみの日に全部出したいから早く出してくれ」ってしょっちゅう言うんですよね。たとえば前日にピザを食べていて、少し余ったから残しておこうかなと思っても「それ、明日がごみの日だから」って(笑)。子どもたちに対しても「あれ出せ」「これ出しておけ」って、分別から何から、家中のごみ集めに関しては完璧です。すごく気になっているのもわかるので、なるべく従うようにしています。

――任せている家事には口を出さない。自分が担っている家事では遠慮なく要望を伝える。これができると、ぐっと気持ちが楽になりそうです。

 お互いのやり方に敬意を払うことってものすごく大事です。もし私がいちいち何か言われたら「じゃああなたがやってください」と思うだろうし、私は夫のやり方に敬意を払っています。

“取り換え係”にはなりたくなかった

――家族の間で家事について揉めたことはないのでしょうか。

 揉めたこと……ほとんどないですけど、細かいことならいくらでもありますよ。

 まだ子どもたちが小さいころの話ですが、いつも「ママ、シャンプーなくなった」「トイレットペーパーがなくなった」とだけ言われて、ふと思ったんです。「だから?」と。シャンプーもトリートメントもボディーソープもトイレットペーパーも、なくならないのは私がこれまで当たり前のように詰め替えたり、取り換えたりしてきたからなのに、「なんかおかしいな」とモヤモヤして。

――そのモヤモヤはどう解消されたんですか。

「誰がやっていると思う?」と詰めるような状況にはしたくなかったし、“取り換え係”にはなりたくなかったので、それまでルールらしいルールはなかったけど、ルールを作りました。なくなったタイミングに居合わせた人が取り換える。ストックはこの引き出しにあるから自分で替えようねと、みんなに任せることにしたんです。

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