上智大学の杉村美紀学長:すぎむら・みき/1962年生まれ。1985年お茶の水女子大学文教育学部教育学科卒業。92年東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。2002年に上智大学文学部教育学科に専任講師として着任。13年より総合人間科学部教育学科教授。25年4月から現職。(撮影/小山幸佑)
上智大学の杉村美紀学長:すぎむら・みき/1962年生まれ。1985年お茶の水女子大学文教育学部教育学科卒業。92年東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。2002年に上智大学文学部教育学科に専任講師として着任。13年より総合人間科学部教育学科教授。25年4月から現職。(撮影/小山幸佑)
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 上智大学は2025年度からの第17代学長に杉村美紀教授を選任した。大学創立以来、初の女性学長となる。杉村学長は研究に力を入れるとともに、上智大学から新たな国際化のモデルを発信したいと抱負を語る。同大は女子学生の割合が約6割、女性教員も約4割とジェンダーギャップが小さい大学だ。杉村学長は女子大出身で、教員や同級生から影響を受けたという。初の女性学長の就任で、女子学生や女性教員の活躍にますます弾みがつきそうだ。

【写真】杉村美紀・上智大学学長

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――学長に選任された第一報は、エチオピアで聞いたそうですね。


杉村美紀(以下、杉村) 昨年から本学のユネスコチェアホルダーに選ばれ、その会議のためエチオピアに滞在していました。驚きでしたね(笑)。

――上智大学で、初の女性学長です。

杉村 本学はイエズス会の神父様が設立し運営されてきた大学で、1956年まで男子校でした。そういう経緯もあり、女性の私でいいものかと、初めは正直躊躇しました。ただ「そういう時代ではありません」と説得され、そこまでみなさんが信頼してくださるのならば、もうやるしかないと。上智大学は私にとって、育ててもらった大学です。恩返しができるのなら、という思いもありましたね。

教育と研究の両輪で

――学長として、これから取り組みたいことは。

杉村 本学はイエズス会の大学として、教育に尽力してきました。もちろんこれからも教育は大事にしていきますが、研究にも力を入れ、両輪で伸ばしていきたい。進行中の研究にはすぐれたものがたくさんあり、ユニバーシティ・リサーチ・アドミニストレーター(URA)を配置し、どの分野にどれだけの研究者が取り組んでいるかなど、リサーチマップを作る作業を進めています。本学は、医学部はありませんが、それ以外の分野がそろっており、特に地球環境や移民、難民問題などの人権分野、哲学や倫理に強みを発揮しています。今後は、小さくまとまったキャンパスの特性を生かして、研究分野でも学際的に取り組んでいきたいですね。

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