介護の現場でのカスハラについて、介護支援専門員(ケアマネジャー)でつくる団体「日本介護支援専門員協会」が4月、実態調査報告書を公表。全国のケアマネに昨年末、過去1年間でカスハラを受けた経験があるか聞いたところ、約1300人のうちの約3割にのぼったという。
カスハラをしたのは利用者の主介護者やキーパーソンが44.8%、利用者本人が27.6%だった。内容としては「言葉の暴力や精神的な攻撃(暴言、侮辱、脅迫、名誉毀損等)」が31.9%で最も多く、次いで「過度な要求や不当な要求」(25.2%)、「不当なクレームや根拠のないクレーム」(19.8%)が多かった(すべて複数回答)。また、約8割が「ケアマネはカスハラを受けやすい」「やや受けやすい」と回答している。
この調査で対象となったのは、利用者の自宅でサービスを提供する訪問介護事業所だったが、三菱総合研究所が全国の介護サービス事業所を対象にした調査結果をまとめた「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究報告書」(2019年)では、通所介護や介護老人福祉施設(特養)などでも、調査した1年間で半数以上がハラスメントを受けたと報告されている。
そして、利用者や家族らがハラスメント行為をする原因として、回答者の半数(複数回答)が「利用者・家族等がサービスの範囲を理解していないから」を挙げた。
カスハラの線引きは
では、冒頭での家族の要求は「カスハラ」にあたるのだろうか。
介護福祉の問題を専門とする弁護士法人「おかげさま」(東京都)の代表弁護士の外岡潤さんは、
「終わりの見えない長話は、『ソフトカスハラ』と言えます」
と指摘する。