
小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(31)。その活動は国内外での演奏だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、人間関係から教育やキャリアのことまで、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA DIGITAL連載。今回は、AIを練習相手に英会話力を上達させるコツを教えてもらった。
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Q. ChatGPTなどAIを相手に英会話を練習することで、英会話力をアップできると思いますか。もし何か気をつけるべきポイントなど懸念点があればあわせて教えてください。
A. 私は、AIの使い方次第で力をアップできると思います。英会話力をつけるには、英語を使う機会があるということがファーストステップですから。一方通行ではなく返答やフィードバックもあるので、会話のラリーを続ける練習ができます。ひとりでやみくもに練習するよりも効果的ではないかなと思います。
懸念点というわけではありませんが、もしChatGPTを使うなら自分用にカスタマイズすることが大事ではないでしょうか。ひとくちに英会話力と言っても、求めるものは人それぞれ。文法が少しでも間違っていたら一つひとつ指摘してほしい人もいるでしょうし、多少の文法的なミスは気にせずに意図が伝わればOKという、会話の流れを大事にしたい人もいますよね。自分がAIから受けたい英会話のフィードバックの内容・細かさや、どんな会話をしたいかというテーマやシチュエーションについて、はじめに具体的な指示を出しておくのがベストだと思います。例えば、仕事で使える英会話力を身につけたいなら、実際にあり得るビジネスでの訪問の場面を具体的に設定する、相手に失礼な物言いをしていたら注意してほしいと指示しておく、など。やっぱりAIはプロンプト(指示や質問)の投げ方次第で変わってくるので、そこがいちばん大事だと思います。何も考えずなんとなく“Hello. How are you?” といった定番のやりとりに終始してしまうと、AIもありきたりなことしか返してくれなくて、大きくレベルアップするには物足りなさそうです。
私の英会話力はアメリカに行ってから、一気に伸びたと感じています。英語で話さないと生きていけない、生活に困るという危機感があると、人は絶対に頑張りますから。そうした状況に勝るものはなかなかないとは思いますが、英会話力の土台を築くにはAIは最高の練習相手なんじゃないかな。英語ができる人の前で話すのが苦手な人でも人目を気にせずにリラックスして練習できるし、予約も不要でいつでも相手をしてくれますからね。隙間時間や深夜でも気兼ねなく話せちゃいます。実際の人間ではなくても、自分に合うならいいのでは。英会話を上達させるには、とにかく英語で誰かと話す。シンプルなことを繰り返しやるしかないんです!