
調査を担当した東京商工リサーチ情報部の本間浩介氏はこう語る。
「中小企業では人間関係が濃いため、『退職代行を利用しても真摯に対応してもらえないのでは?』という心理が働くのかもしれません。調査の結果からは、大企業のほうが受け入れている傾向がみてとれます」
業種別でみると、退職代行を利用した従業員の退職があったと回答した企業(母数10社以上)は、最多が百貨店などを含む「各種商品小売業」で30.0%(10社中3社)。次いで、美容・理容業、クリーニング業などを含む「洗濯・理容・美容・浴場業」が20.8%(24社中5社)だった。
「『各種商品小売業』の具体例としては、自動車販売、アパレル販売、ガソリンスタンド、中古車販売、薬局、宝石店など、街中で見かけるような販売業での利用が目立ちます。いずれも消費者と直接対面する接客業や販売業、宿泊業といったBtoC(一般消費者向け事業)業界での利用が多いです」(本間氏、以下同)
有休消化や退職金の交渉までも
また、20代の利用率が全体の6割を占めることについては、「コミュニケーションが苦手」という傾向が推察されるが、意外なのは40〜60代の利用者が一定数いるということだ。
「長年勤めた会社を辞めるというより、比較的短期間の職場などを辞める際に利用されているようです」
長年大企業に勤めていた人の場合は、オプション料金などを支払えば、弁護士を立てて、有休消化や退職金の交渉まで対応してくれる退職代行サービスもあるという。