一方で、退職代行の利用を考えている人が気になるのは、利用した経験がその後の転職活動に影響するかだろう。
東京商工リサーチの調査によると、退職代行を活用した退職の経験がその後の採用活動に影響を与えたか?という質問に関しては、「影響はない」と回答した企業が全体の74.0%(431社中319社)で最多だった。現時点では、企業側はそこまで気にしていないようだ。
「ブラックリスト化」
ただ、次いで、「応募者の転職回数や職歴をより厳格に見極めるようになった」が20.8%(90社)、「応募者のリファレンスチェックをするようになった(より厳格化した)」が10.2%(44社)、「適性検査(SPIなど)で退職代行を活用した退職者と同じ傾向の応募者の採用を厳格化した」が5.8%(25社)と、採用に際して厳格化の動きもある。
SNSでは「退職代行を利用したことがわかるサービスを作ってほしい」という企業側の声に見られるように、すぐに辞めてしまうかもしれない退職代行利用者をいわば「ブラックリスト化」したいという考えもあるようだ。
「調査の結果では約4分の1の企業では、履歴書やバックグラウンドチェックをより重視する動きが見られます。それだけでなく、10社に1社は『応募者のリファレンスチェックをするようになった(より厳格化した)』と答えており、応募者の経歴に対して厳しく目を向けているという結果も出ています」
本間氏は今回の調査結果について、次のような見解を示している。
「退職代行サービスがSNSで頻繁に話題になることによって、非常に親しみやすく感じられています。また、現在は人手不足で転職市場が活況を呈しているため、気軽に利用する人が増えている印象です。しかし、退職代行を使ったという事実は残ります」