その一方、開幕前に優勝候補筆頭に挙げられていたV・ファーレン長崎は現在7位(勝点31:8勝7分け5敗)。第7節からの7戦未勝利(3分け4敗)の停滞期を脱出し、第14節以降は4勝2分け1敗と白星先行させたが、まだJ1自動昇格圏の2位とは勝点7差ある。“最強の個”マテウス・ジェズスを中心とする攻撃力がリーグトップの35得点を挙げているが、35失点と守備陣は整備不足で、6月16日に下平隆宏監督との契約を解除して高木琢也代表取締役C.R.Oが監督に就任した。この決断が、今後の戦いにどう影響するか。“解任ブースト”のみで乗り切るには残り試合が多い。しっかりとチームを立て直す必要があると同時に、上位陣との差を詰めるためには起爆剤も必要になる。守備陣にはG大阪から実力派DF江川湧清を加えたが、攻撃陣ではドリブラーの松澤海斗が海外移籍のためにチームを離脱。巻き返しのためには今夏の補強で戦力をプラスにしたいところだ。

 その他、サガン鳥栖が8位(勝点30:8勝6分け6敗)、北海道コンサドーレ札幌が12位(勝点25:7勝4分け9敗)と昨季のJ1クラブが中位に苦しんでおり、昨季後半戦の快進撃から前評判の高かったモンテディオ山形は15位(勝点20:5勝5分け10敗)と低迷している。長崎も含めて、この有力候補4クラブの低迷が、今季の大混戦の折り返しを演出した要因となっている。

 団子状態のまま始まったJ2リーグの後半戦。まずは水戸の勢いがどこまで続くのか。そして千葉は停滞から脱却できるのか。まだまだ上位から中位までの勝点差は少なく、毎節ごとに順位が変わる状況。J2クラブのサポーターたちにとっては、今年の夏も激しく燃え上がる猛暑となりそうだ。

(文・三和直樹)

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