
5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
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case.97 本当に整えたかったのは家族の現状 夫・子ども3人/教員
片づけに悩んでいる人は、もしかするとこう考えているかもしれません。
「新しい家に引っ越せば、きれいな環境で住めるのに……」
「時間があれば、片づけられるのに……」
でも、たくさんの片づけの実例を見てきた経験上、実際に引っ越しをしても、自由な時間ができても、片づけの悩みが解決するケースは多くありません。散らかってしまう“根本的な問題”を、解決できていないからです。
「新築の家に引っ越したのは、3年前。使いやすいように収納を考えて建てたはずなのに、暮らしているうちにモノの量が増えて、気づいたら家の中は散らかっていました」
こう話してくれるのは、夫と3人の娘と暮らしている理江さん。引っ越す前に住んでいた実家のすぐ近くに家を建てたので、必要なモノがあれば少しずつ移動させていました。そのうち、実家にあるモノを新居で買ってしまったり、実家の荷物を早く運ぶように言われてとりあえず持ち込んだりしていると、家の中はいつの間にかゴチャゴチャになっていました。
さらに理江さんは、小さな頃から部屋が散らかっていても「あとで片づけよう」と、後回しにする性格。いざ片づけると決めたら、休みの日などに長時間かけて終わらせていました。
リビングのソファには洗濯物などがいっぱいで、ゆっくり座ることができません。理江さんが仕事から帰ったときに目に飛び込んでくるのは、脱ぎっぱなしの服や食べっぱなしのゴミ。家では家族にイライラをぶつけていました。
片づけた方がいいとはわかっていても、自分たちの生活に合った片づけ方がわからず、片づける習慣もありません。収納に関する本を買ってみましたが、どこから手をつければいいのか途方に暮れてしまいます。