佳子さまがブラジルでお召しだったのは「AKIKO OGAWA.(アキコ オガワ)」のオーシャングラデーションプリントスカート(税込99,000円)。夏の広大な大西洋をイメージしたブルーのグラデーション柄を張り感のあるオーガンジーのサーキュラ―スカートに載せた=「AKIKO OGAWA.」提供

 デザイナーの小川彰子さんがデザインしたこのセットアップは、福井にある機屋(はたや)で素材となる生地を生産し、奈良県の工場で美しい青のグラデーション柄を生地に転写したものだという。

「美しさのなかの強さ」をコンセプトのひとつに掲げる同ブランドは、芸能人やモデルだけでなく、働く女性にも人気だ。

 小川さんは、立体裁断で仕上げるシルエットにこだわりをもち、素材との相性を考えながら丁寧に服を作り上げるデザイナーだ。

 たとえば、佳子さまがお召しだったジョーゼットブラウス。

 仕事などで忙しい女性たちでも服の手入れをしやすいよう、ポリエステル素材の生地を選んだ。その生地にもさまざまな工夫が詰まっている。

 身体に負担のない着心地のよさを実現するためには、日本の機屋の繊細で高い技術が必要だ。

「一般的に使われる生地よりも薄くすることで、素材の軽さと透け感を向上させました。それによりグラデーションもより鮮やかに仕上がっています」(広報担当者)

この日の佳子さまは、日本製の青のセットアップ。大西洋をイメージした青のグラデーションの服に海の宝石である真珠のイヤリングを身に着けて、リオデジャネイロ植物園の日本庭園へ。説明を聞きながら笑顔を見せた=2025年6月13日午前9時54分、ブラジル・リオデジャネイロ

 糸ひとつにもこだわりがある。たとえば、スカートのオーガンジー生地に用いている、ポリエステルのたて糸は、繊維を三角の断面に加工することで、自然な光沢感を出した。

 よこ糸も化繊だが、綿のような天然素材の風合いがある。

 実は、小川さんは、皇室と縁のある人物に洋服作りを学んでいる。

 日本で最初のデザイン専門学校として知られる、桑沢デザイン研究所の学生だった小川さんは、オートクチュール科目を専攻。そこで指導していたのが、上皇后美智子さまの専属デザイナーを務めていた植田いつ子さんであったという。

 植田いつ子さんからのからの学びは、小川さんにとって、服作りの大切な原点。

 佳子さまがブラジルでお召しになったことも、喜んでいたという。

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