
リミットを決めることの意味
自分なりの理由と意志を持って貫いたことが、結果として、いまにつながっている。
「見てくれている人は、見てくれている。こいつちゃんと芯持ってやってるなとか、こんだけ生意気やけど、しっかり考えているよなとか、こういうことがあったから生意気やねんな、とかを踏まえて見てくれた人が何人かおった。それが唯一の救いだった」
そうした折れない強さを持ちながら、「諦めが大事なときもあると思う」とも口にする。実際末澤は、30歳になってもデビューできなければ芸能活動を辞めると決めていた。
「自分のなかの区切りをしっかり作るのは、アリやと思う。だらだら続けるんやったら、俺はやめたほうがいいと思います。人生もったいない気がする。リミット決めてやるぶんには、次の道に進んでもリスタートできるし、もっといっぱいできることもある。
自分の気持ち的にもね、そのほうがたぶん、よりギアを上げて、できるやろうと思う。一発で、この子いいやん、ってなるかもしれへんし、いろんな人が応援してくれる可能性もある。だから、いままでチャンスがなかったとしても、準備はしとかなあかんなと思いますね。いざここ、ってときに、パワーを出せるように」
遠まわりもしてきたが、だからこそ学んだこともある。
「いろんな先輩のバックについたのも、やっぱり経験ですし、あとはアルバイトもそうですね。コンビニと本屋とカフェと、やっていました、大学生のとき。俺自身もうあんまり事務所所属している意識なかったし。派遣社員やと思ってたので(笑)。1年に1回、呼ばれたら行って、給料もらって帰るって感じやって。雑誌もたぶん、3、4年載ってないんちゃうかな? たぶん、仕事なさすぎて、辞めたと思われてたと思います。
やから、ファンに見つかるほどの知名度もないんですよ。俺、普通に『末澤』って名札つけて、コンビニで働いてた。でも、お金を稼ぐ感覚というか、みんながやるようなことを経験できたのはよかったなと思いますね」
(編集部・伏見美雪)
※AERA 2025年6月23日号より抜粋
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