
岸田文雄前首相の独占インタビュー後編。「新NISAに回すお金なんかないんだけど?」「iDeCoの不利なルール変更、どう思っている?」…etc. 本記事の取材後に判明した「プラチナNISA」「子どもNISA」についても追加でコメントいただいた。 ※アエラ増刊「AERA Money 2025夏号」から抜粋しています】
【本記事は後編です。前編はこちら】
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一方、物価高騰が生活を圧迫し、税金や社会保障費の負担も重い。「NISAに回すお金なんてない」という声にはどう答えるか。
「新NISA利用者の年収分布は300万円未満が約4割で一番多いんですよ。
次に300万〜500万円未満が3割近く。
そして国はNISAを強制していません。使いたい方に使っていただきたい。精いっぱい使い勝手のいい制度を用意しますから」
こう述べたあと、資金や時間の制約から投資が難しい人を念頭に、「人々に寄り添うための仕組みはNISAだけではありません。政府・与党として国民のみなさんがより豊かな人生を送れるよう尽力する」とも付け加えた。
そういえば「新しい資本主義」の目標に「誰一人取り残さない」があった。
iDeCo加入者361万人
新NISAの2560万口座に比べるとiDeCo加入者数は361万人と少ない。岸田さん率いる資産運用立国議員連盟はiDeCoの普及にも力を入れているが。
2024年末の税制改正大綱ではiDeCoの拠出限度額引き上げが盛り込まれた。
たとえば企業年金のない厚生年金等の被保険者の拠出限度額は2万3000円から6万2000円に引き上げられる。
iDeCoの普及を妨げる要因の一つは60歳まで引き出せないこと。
米国はペナルティー付きで引き出せる場合があると聞くが、岸田さん、なんとかしてくれませんか。
「日米の年金制度は大きく異なるため単純比較はできません。iDeCoは年金制度なので、一定の年齢まで引き出せないのは仕方ないことです。
中途引き出しを認めるかについては慎重な検討が必要でしょう」
国会答弁で「慎重に検討する」は、ほぼ「やらない」の意味である。途中引き出しは当面不可と考えておいたほうがよさそう。
ではもう一つ、ぜいたくを。iDeCoもNISAのように「受取時すべて非課税」にしてもらえないか。
