「石破首相は、絶えず衆院解散の機会を狙っている」

 だが立憲民主党の野田佳彦代表は、内閣不信任案の提出に慎重だ。6月6日の定例会見では、「どの党にも事前に話しながら進めていく」と明確にしなかった。また9日に行われた日本外国特派員協会での会見でも、「適時適切に、総合的に判断する」と述べるにとどまった。そして「ホップ・ステップ・ジャンプで政権交代を実現するため、昨年秋の党代表選に立候補した。実現できなかったら当然、代表を辞める」と、自らに高いハードルを設定した。

 石破首相も、表向きは衆院解散を避けている印象だった。3日には産経新聞のインタビューに「日々、現下の課題に全力で対応する。解散はどうしたこうしたと今議論する意味はない」と答えていた。

 だが水面下では、衆院解散を意識したとみられる動きもある。たとえば石破首相は4月3日午後に自民党本部に赴き、森山裕幹事長らと打ち合わせを行ったが、この時に党の選挙担当者が同席し、衆院解散のタイミングが話されたという。ある関係者は、「石破首相は、絶えず衆院解散の機会を狙っている」と話す。

 日本維新の会の前原誠司共同代表も6月5日の会見で衆院解散の可能性について質問を受け、「(石破首相が)総理になられてから2人だけ、あるいは何人かの会合で何度かお会いしているが、一貫して総理はそうした発言をしておられた。不信任案が出れば解散するということをおっしゃっていたので、そこはぶれておられないのだろうと思っている」と述べている。前原氏と石破首相は、ともに「鉄道」という共通の趣味を持つ親しい関係だ。よく一緒に飲みに行き、前原氏が石破首相から「鳥取県に帰って知事になろうかな」と打ち明けられたこともあったという。

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