トロントのアジア系食品スーパーマーケットに並ぶカルローズ米。アメリカ産の存在感が強い
トロントのアジア系食品スーパーマーケットに並ぶカルローズ米。アメリカ産の存在感が強い

 5月中旬、韓国のソウルにある大手スーパーマーケットの「イーマート」。10キロ入りの米が2万ウォン台(約2110円台)で売られていた。米フロア担当者によると、「どんなに高い米でも10キロで5万ウォン(約5270円)を超えることはない」とのこと。大まかに換算すると日本の半値である。

 このスーパーマーケットにやってきた在韓日本人の主婦は韓国の米についてこう話していたという。

「日本に帰省したときを除いて、日本産のお米を食べることはありません。韓国では日本産のお米は売られていませんから。韓国のお米は値段もリーズナブル。韓国産のコシヒカリというお米もあって、日本産のお米と味は変わりませんね」

 パッケージに「コシヒカリ」というブランド名が記された韓国の京畿道の驪州(ヨジュ)市で生産された米は、2キロで1万3500ウォン(約1423円)、3キロで1万5500ウォン(約1634円)で販売されていた。

 前述の台湾産も韓国産の「コシヒカリ」も、日本で開発され、現地で生産されている米だという。

取材した結果を総合すると…

 カナダのトロントの米事情はアジアとは違う。隣国アメリカでつくられた中粒種のカルローズ米が入ってくるからだ。この米は俗にSushi Riceと呼ばれ、パッケージに日本語が印刷されているのが特徴で、パサパサ感が少なく、日本人にも比較的受け入れやすいとされる。値段は「雪花」というブランドが2キロで10.99カナダドル、5キロで日本円に換算すると約2880円だ。「ぼたん米」は2キロで15.49カナダドル、5キロ換算で約4060円だ。

 トロント在住の日本人女性Rさん(48)はSushi Riceを食べている。

「あまり期待していなかった分、かなりおいしく感じますね。モチッとしていて、日本米にかなり近い」

 取材してみると、日本人が海外で買って帰るのは、現地でつくられた日本米が多いようだ。日本国内で高騰が続く日本産米は、輸出先の海外でも風向きは悪いようだ。

(下川裕治)

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