本当は1対1の関係がいい

「たぶん私、根はモノガミーなんですよ。本当は1対1の関係がいいし、ちゃんと私を見てほしい。嫉妬もちょいちょいしてしまうから、そこは相手に『私はそういうタイプだよ』って伝えて、見ないようにしています。ポリアモリーの人は、嫉妬心を持たれたりコントロールされたりすることは嫌だと思うので、それはしないようにと思っているんですけれど、感情としては起こってしまうので、『嫉妬心を持っている自分』を認識することで、自我を殺さないようにしていますね。そのことで、たまにメンタルがごちゃつくことはあるけれど……」

 つまり、ポリアモリー的な関係性は、みやさんにとって妥協案ということだ。

「そうです。1人のパートナーで完結するならそのほうがいい」

一番の女性がいて、それは私ではない

 しかし、それが難しかったのである。

「去年かな。私が、『パートナーになれたらいいな』と思っていた男性3人が、2カ月くらいの間に、それぞれパートナーを見つけて『もう遊べない』と言われてしまったんです。そのときは、嫉妬心というより、私が選ばれなかったっていうことがすごくショックでした。お互い遊ぶ人がほかにいても、その関係性はずっと続くと思っていたのに、変わってしまった。その人たちには、ほかに一番の女性がいて、それは私ではないっていうことが、3人続いたことに落ち込みました」

 みやさんは、空になったティーカップを撫でながら、ぽつりと言った。

「ノラみたいな気持ちです。いろんな家にご飯をもらいに行くけど、どれも私の家ではない。自分の家が欲しい」

 そして顔を上げると、なんでもないことのように微笑んだ。

 たくましく生きる女性から、寂しさが垣間見えたようで、胸がきゅっと締めつけられた。

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