
AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。
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Q:昔から人とのコミュニケーションが苦手です。嫌われるかもという不安が強く、人と一緒にいると疲れてしまい、数年おきに環境を変えて人間関係をリセットしたくなります。今は知り合いのいない土地で在宅ワークをしているので、ほとんど人と関わらない生活。快適な半面、将来後悔しないか不安です。今の生活を満喫するか、多少無理をしてでも積極的に交流すべきか、悩ましいです。(女性/フリーランス/42歳/うお座)
A:今回のご相談者さんにはリスペクトの感情を抱きました。「コミュニケーションが苦手」というご相談は多く寄せられますが、ご相談者さんの場合、数年おきに人間関係をリセットするとか、コミュニケーション苦手道をかなり突き詰めていますよね。なかなかできないことだと思いました。
僕も今でも人とコミュニケーションを取るのが苦手なんですが、昔はもっとひどくて、数年間、自宅でふすまと畳と会話をしていたことがあります。シャドーボクシングのように練習を重ねて、それが今の仕事に役に立っているところがあります。
だから、苦手なものがあっても、その人にしか歩めない道を突き進むうちに、例えば草花と会話をする術を身につけるとか、そういったことにつながる可能性も秘めています。ぜひその道も探ってみていただきたいです。
とはいえやっぱり、もう少し人とコミュニケーションを取りたいという願望も、文面から伝わってきました。
コミュニケーションが苦手な人には「ああしなきゃ、こうしなきゃ」のスイッチが入りやすい人が多いです。例えば相手が「実は困ってることがあって」と言った時に、それが単なる愚痴でも「助けてあげなきゃ」「この人の気持ちをくみ取って行動しなきゃ」と落ち着かない気持ちになってしまう。それで人と離れたくなってしまうし、自分が役に立たないことに罪悪感を覚えてしまうこともあります。
この場合「自分を許す練習」が必要になります。例えば何もしない日を作って、だらだら過ごして、何の役にも立たなかった自分に「よくやった」と言ってあげる。
自分のことが許せない人って、自分に対して「もっとできたじゃん」の感覚が常に残ります。仕事をちゃんと終わらせたとしても「いや、もっと早くできたじゃん」みたいに。「今日はこれでいい」「十分よくやりました」と自分を許してあげると、人とのコミュニケーションももっと楽になります。
うお座は束縛されることを嫌うし自由にいろんな土地を行き来したいという旅人的な面があります。その半面、気遣い屋さんで旅をしながらも「何か私にできることありますか」と周囲にアンテナを張っている。本当の意味で解放される非日常の時間を作って、気を使わない自分を許すことから練習してみてください。
※AERA 2025年6月9日号
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