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 やはり岸田さんは新NISAも「やっていない」のかと思ったら、意外にも「口座は作りましたよ」。

 でも、金融商品の買い付けはしていない。

「新NISAは手続きが煩雑と聞いていたので、実際に口座を開いて確かめるためです。

他の仕事ならともかく、政治家が儲けを狙って非課税投資限度額の上限まで買っていたら、国民にどう思われるでしょう」

 政治家としての自制が根底にあるようだ。ここで本誌は粘った。

「でも自分がやらないものを国民にはやらせるのですか?」

 岸田さんは「国民のみなさんが豊かになっていくならいいじゃない。そんなに私に投資させたいかなぁ」と笑みを浮かべた。

「NISAを利用した方の老後の蓄えが積み上がっていく。

もちろんリスクのある金融商品に投資するわけだから、常に増え続けるわけではないし、一時的なマイナスもありえるでしょう。

ただ、20年、30年といった長期では『何もしない』よりもいい結果になると信じています。

コツコツ続けた人のお金が増える。岸田のお金は増えない。何も問題ないんじゃないかと」

日本株専用NISA

 新NISAの非課税投資限度額は1800万円。

 これとは別に、日本株や日本株投資信託に対象を絞った専用枠があればいい、という要望がある。

 新NISAのつみたて投資枠で「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」など外国株のインデックス型投資信託があまりにも主流になっている点を問題視する人もいる。

 岸田さんは「海外投資が多すぎて、これは国富の流出ではないかと心配する声があるのは知っています」と。

「『成長と分配の好循環』を実現する観点から言えば、資金が国内企業の成長投資に回ることは極めて重要です。

日本の金融資本市場の魅力を高め、個人のNISAマネーだけでなく、国内外の多くの資金を日本企業の投資に向ける必要があります」

 とはいえ、現状のS&P500や全世界株式の人気を否定しなかった。

「家計のお金の一部が海外に投資されることを一概に否定するのはおかしいですよ。

海外投資で日本人の資産が増えたとして、ずっと海外に行きっぱなしではない。

長期投資のあとに、増えたお金をみなさん使うでしょう。長い目で見れば国内の個人消費拡大や経済成長にも寄与します」

※後編は2025年7月上旬に公開予定です

取材・文/中島晶子(AERA編集部)、大場宏明

編集/綾小路麗香、伊藤忍

AERA Money 2025夏号』から抜粋

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