管理を怠った油断が
過失致死の罪に

 これはタイルが原因ではありませんが、2020年に神奈川県の逗子でマンションの敷地斜面が崩落し、この斜面に面した市道を通行していた高校生が生き埋めになって亡くなるという痛ましい事故がありました。

 敷地内の一部だった斜面の崩落ということで、遺族はマンションの管理会社を業務上過失致死の疑いで、区分所有者全員を過失致死の疑いで告訴。その後、マンション住民側は、遺族に1億円の賠償金を支払って和解しています。管理会社に関しても、事故の発生を防止する義務を怠ったという遺族側の訴えが認められました。

 マンションの敷地内をきちんと点検し、安全が脅かされることがないように適切に管理していれば、このようなことは起こらなかったかもしれません。マンションに住んでいても、管理についてさほど深く考えていない人は多いものですが、その油断が過失致死の罪につながることもあるという現実を、決して忘れてはいけないのです。

 そのほか、外壁に白いシミのようなものができていたら、内部のコンクリートのアルカリ成分が外部に漏れだす現象(エフロレッセンス)が起きている可能性があります。白っぽくなっている面積がわずかならまだいいのですが、広範囲に及んでいる場合、内部で劣化が進んでいる恐れがあります。

 また、タイル張りではなく吹き付け塗装の外壁の場合、触ってみて粉がつく場合はチョーキングという現象が起こっています。きれいに見えても、建物を守っている塗装が剥がれて防御力が低下しているので塗り替えが必要な状態と言えます。

 近々修繕を予定しているのであればいいのですが、修繕や工事の計画も当面ないということであれば、修繕積立金の不足などの問題が生じていると考えられます。

(長嶋 修:株式会社さくら事務所会長)

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