絵本『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』(撮影 編集部・深澤友紀)

障害特性が強みに変わると気づく絵本

 中盤では、発達障害のお子さんが特別支援学校を卒業して農園で働くまでの実話を元にした絵本『めねぎのうえんのガ・ガ・ガーン!』(合同出版)を一緒に読みました。はじめは「障害のある人がこの農園で働くのは無理」と思っていた社長が、障害特性が強みに変わる場合があることに気づくという内容です。

 ここで私がお子さんたちに伝えたかったのは、「誰でも得意・不得意がある同じ人間」であることと、「自分の個性に自信を持ってほしい」ということでした。読み終わって感想を聞いてみると、同じように答えてくれたお子さんが多く、とても嬉しく思いました。

 その後は、いくつか持参したアクセシブルデザインの実物を出し、シャンプーの横にあるデコボコに触れてもらったり、お米をとぐアイテムは、手が不自由な人だけではなくきれいなネイルをしている人にもメリットがあるという話をしたり、「車いすに乗った子どもが公園で遊ぶとしたら、どんな配慮があると楽しめるか?」を一緒に考えたりしました。

 そして最後は外に出て、アクセシブルデザインの代表例として?我が家の福祉車両にみんなで乗ってもらいました。(もちろん、事前に先生とは打ち合わせ済みでしたが、お子さんたちにはサプライズでした)

 じゃんけんで最後まで勝ち残ったお子さんが車の後ろからスロープを出してくれて、ひとりずつスロープを上がって横のドアから降りるという簡単な見学なのですが、想像以上に盛り上がり、この企画は大成功でした。

子どもならではの自由な発想で

 まだ偏見のない子どもたちが、このテーマを学ぶことはとても大きな意味があると思います。子どもならではの自由な発想やクラスみんなで考えたという記憶は、きっと未来を担っていく彼らの最高の糧になるのではないでしょうか。

 このクラスでは、約1年かけてインクルーシブについて学び、アクセシブルデザインの製品開発につながるように考えていくそうです。小学生の無限大のアイデアと好奇心がいつか形になることを願っています。

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