投手では東都大学に有力選手が多いが、中でも評価を上げているように見えるのが山城京平(亜細亜大)と中西聖輝(青山学院大)の2人だ。山城は4月16日の中央大戦ではスカウトのスピードガンで最速154キロをマークし、7回途中まで投げて無失点と見事なピッチングを披露。それほど全力で腕を振っているように見えなくてもストレートは150キロ前後を常にマークしており、左の先発投手としてはプロでも上位のスピードを誇ることは間違いない。コントロールにはまだ課題が残るものの、貴重な本格派左腕だけに今後も高い注目を集めることは間違いないだろう。一方の中西も昨年と比べて明らかに出力がアップし、コンスタントに140キロ台後半をマーク。元々多彩な変化球や投球術には定評があったが、ストレートの勢いが増したことで投球に凄みが出てきた印象を受ける。試合終盤にも球威、制球が落ちないスタミナも魅力で、先発タイプの投手としては今年の候補の中でも屈指の存在となりそうだ。東都大学では斉藤汰直(亜細亜大)、島田舜也(東洋大)、岩城颯空(中央大)の3人もここからの投球次第で上位指名を狙える存在である。

 東京六大学では伊藤樹(早稲田大)と高須大雅(明治大)がともに東京大を相手に今季初登板で初勝利をマークした。ともにまだ本調子ではないように見えたが、試合をしっかり作れるのは魅力だ。伊藤はストレートの球威アップ、高須は昨年痛めた肘の状態の回復ぶりが今後のチェックポイントとなるだろう。

 地方リーグの投手では昨年大学日本代表にも選ばれた高木快大(中京大)と渡辺一生(仙台大)の注目度が高い。高木はオフに右肘のクリーニング手術を受けた影響で少し慎重な起用となっているが、それでもボールの質の高さはさすがだ。渡辺も開幕戦で力の差が大きい宮城教育大が相手だったものの、4回を投げてノーヒット、10奪三振と見事な投球を見せている。ともにここからリーグ戦終盤の緊迫した試合でどんな投球を見せてくれるかに注目だ。

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