ドジャースの大谷、山本と佐々木。チームには佐々木が見習うべき先輩が多い

「マイナーで肉体強化からやり直すべき」

 生命線である直球の球速が年々落ちていることが、投球を苦しくしている。23年のシーズンは平均球速が159.3 キロだったが、わずか2年で6キロ以上落ちている。今永昇太(カブス)のように直球の回転数が多い投手なら平均球速に神経質になる必要はないが、佐々木は球速が上がらなければ打者に脅威を感じさせられない。メジャー移籍にあたって有力候補に残った複数の球団と代理人同席の元で面談を実施したとき、「投手の育成システム」について各球団のビジョンを求めたが、そこでは「なぜ球速が落ちたのかその理由を明確にし、対処法を示してほしい」と佐々木サイドから要望したことが報じられている。

「佐々木自身も球速が年々落ちていることに危機感があったと思います。今回の右肩痛が原因だとしたら万全なコンディションを取り戻すことに専念するべきでしょう。気になるのは入団以来、体型が大きく変わっていないことです。大谷翔平や山本由伸は、NPBで経験を積み重ねると共に体に厚みが増していきました。でも佐々木は下半身が細いままで、スタミナに不安を抱え続けています。ロッテ時代の育成方法が間違っているとは言い切れません。入団当時に立てられた5カ年育成計画で『中6日の登板と150イニング』が達成すべき課題として示されましたが、入団5年目の昨年はコンディション不良で何度も先発を外れ、投球回数も111イニングにとどまった。育成計画通りに成長できず、まだまだ完成に程遠い状況でメジャー挑戦を決断したことを考えると、米国で思い描いた投球ができていないのは驚きではありません」(スポーツ紙デスク)

 右肩痛が治っても直球の球速が上がらずに不安定な投球が続くようであれば、先発ローテーションの座を剝奪され、マイナーに降格する可能性が出てくる。米国で取材するスポーツ紙記者は「メジャーでは、ストライクゾーンに投げ込める直球、抜群の制球力、絶対的な変化球を持っていなければ通用しません。佐々木はメジャーで活躍するビジョンをどう描いているか。細かい制球力がある投手ではないし、スプリットやスライダーは直球が走ってこそ生きてくる。23歳とまだ若いですし、マイナーで肉体強化からやり直したほうがいいと思います」と話す。

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